
2024年9月29日(日)、東京・渋谷TOKIO TOKYOにて『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』が開催された。2024年5月に始動した『LOOSE PLAY FESTIVAL』2度目の開催となった今回は、Hammer Head Shark、Qoodow、Acidclank、the bercedes menz、とがる、Khakiの6組が出演。チケットはソールドアウトを果たし、祝祭ムードに包まれた一夜の模様をレポートしよう。

Hammer Head Shark
『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』のトップバッターを務めたのは、4月にTOKIO TOKYO初出演を果たしたHammer Head Shark。

緊張感漂う会場に姿を現すと、ながいひゆ(Vo,Gt)の精悍かつフラジャイルな歌声が静寂を切り裂く「たからもの」で開幕を迎える。1曲目からクライマックスさながらの幻想的な風景を描き出し、そのまま福間晴彦(Dr)のビート上で後藤旭(Ba)のメロディアスなベースラインが泳ぐ「綺麗な骨」へ。時に泣きそうに、折に叫ぶように感傷を投げるながいのボーカリゼーションは、安らかな場所を建設するために傷つきながら足掻くようであり、聴き手の涙腺を緩ませる。

「そこにいてくれてありがとう。音楽ができて本当に嬉しいです」と語ったのち、終止符を打ったのは「魚座の痣」。〈いつも君の側で歌う〉というラインをがなりながら歌うながいは、祈りと形容するべき神々しさを帯びていた。インタビューでの宣言通り、空間を支配し切ったHammer Head Shark。至極の第一走者で『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』が開幕!


Qoodow
続いて登場したQoodowは、唸るギターとジャジーなアルペジオの緩急が特徴的な「水槽」でティップオフ。海を喚起する壮大さを持つHammer Head Sharkから、水槽が表象する息苦しさに光を当てる音楽を鳴らすQoodowへ繋がる構成は、水を媒介にドリーミーな質感で客席を包み込んでいくようだ。

続く「ドライブイン」では、矢庭に上がるギアにバッと顔を上げるオーディエンスの姿も見られ、Qoodowの楽曲が強固なフックを持っていることを実感する。一方で、そういった引っ掛かりを計略的ではなく、ナチュラルに設けている部分も見事。楽曲が呼ぶ感情の起伏に従って、形式的ではないソングライティングが為された結果、現在の形に至っているのであろう。


ここまでの仄暗いムードを一変させた「エスパー通り」や楽曲のフィナーレに向けてダークネスが炸裂する「徘徊」など『水槽から』の楽曲を中心に、新曲も披露した30分。アンニュイでありながら微かな光を感じさせるQoodowの音楽が、軽やかに浸透していった。

Acidclank
『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』前半戦を締め括ったAcidclankは、シームレスに全3曲を繋げ、圧巻の強度を誇るストイックなショータイムを届けた。

神秘的なシンセサイザーが薄く鳴る中、徐々に近づいてくるシンセベースが幕開けを告げる。続けて、生ドラムとギター、ベースがアンサンブルに加わると、電子音とバンドサウンドの境界線が喪失。たっぷりと時間を費やしてビルドアップするのに比例して、「来るぞ、来るぞ」といった期待感がフロアを満たしていく。1曲の中でエレクトロとバンドの濃度が移り変わることによって、いくつもの爆発点を創造し、その度に観客からは歓声が湧出。

エンディングに華を添えた「Exit Acid」では、リフレインされる〈揺れたい、叫びたい、まだ踊りたい〉の一節が、何よりも観客の想いを象徴していた。早くも半分が終わってしまった『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』。バキバキのサウンドスケープでダンスフロアを建立してくれたAcidclankのステージで後半への助走は完璧!


the bercedes menz
『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』後半戦の口火を切ったのは、the bercedes menzだ。kazunari wada(Vo,Gt)の「We are the bercedes menz from Tokyo!」という名乗りと共に、まずは「天蓋」をドロップ。ゴリゴリのベースとソリッドなギターサウンドでボルテージを急上昇させていく。宙高く設置されたyuto utsugi(Dr)のクラッシュシンバルも目を惹き、テンションアップに一役買っていたように思う。

「AMBITIOUS JAPAN!」をカバーした一幕から一気にラウドな「開口部」を鳴らせば、ファンからは怒号のごとき歓声が投げられる。オーディエンスを楽しませたいという遊び心とポップネスへの探究心は、3人の中に強く根を張るポイントであり、ライブ中盤に披露された「行為する惑星」の旋律や「あーもう」のリリックをはじめ、一見頑固に見えるthe bercedes menzの愛すべき真髄と言えるだろう。


ライブはnodobue tanaka(Ba)が「何でやってなかったんだろうって1曲」と語った「庭」でフィニッシュ。〈にわにわにわにわとりがいる〉というユーモア溢れるリリックをネジを外して合唱する光景は、まさしく大団円だった。

とがる
青色が呼び覚ます甘酸っぱい記憶やもう戻れないあの夏。そんな刹那的な感傷を、5番手・とがるは端から端まで体現してみせた。5人で拳を合わせ「Blue Boy」で滑り始めると、ナカニシイモウ(Vo,Gt)は一音一音を確かめていくようにメンバーとアイコンタクトを交わす。

「失くした蒼」から「First Blue」を経て、新曲「俺たち」へと繋がる流れはハイライトの1つだった。初期衝動的なパンクと電子音をミックスした『808:Blue』収録の2曲に接続した「俺たち」は、楽曲の前半ではプリミティブなバンドサウンド、後半では打ち込みやオートチューンを駆使したエレクトロな音像であり、今作からの流れを汲んだ1曲に位置付けられよう。そんな同ナンバーの幕切れが5人の生々しいアンサンブルであったことは、とがるがバンドとしての歩みを進めていることを証明していた。


「死ぬまで音楽やろうと思ってるんで」という宣言と共に、最後を飾ったのは「生きた証」。大切だったあの人のいない季節へ進んでしまう悲壮をシャウトするナカニシに、フロアから上がった強く強く握りしめられた拳が目に焼き付いている。

Khaki
『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』の大トリを託されたのは、Khaki。この日は中塩博斗(Gt,Vo)がキャンセルとなり、4人編成でのステージとなった。普段は上手に陣取る平川直人(Gt,Vo)が中央に位置するセットは新鮮味も強く、元来予知できないKhakiのライブがどんな変化を提示するのか、ファンも固唾を飲んで見守る。そんなえも言えぬ空気を裏切るかのように、リハーサルから間髪入れずにさらりと「Hazuki」「Kajiura」を連打してキックオフ。

4人編成ならではのムードが流れていたのが、ライブ中盤にプレイされた「ハンメルフィストの口づけ」だった。通常時は中塩がメインボーカルを担当する同曲が平川の歌唱で届けられたことは、ファンにとって嬉しくもあるだろう。歌い慣れていない曲のためか、平川が歌詞を飛ばすというレアなワンシーンも。複雑なアンサンブルを淡々とやってのけていくスタイリッシュな印象の強さゆえ、垣間見られた人間らしさが魅力的に映る。「最高だから、安心して」とでも伝えるように、オーディエンスからは一際大きな拍手が送られていた。


橋本拓己(Dr)と下河辺太一(Ba)の阿吽のアンサンブルの上で、ジャジーで重厚感のある旋律が踊りに踊った30分は、この日を締めくくるのにふさわしく、黒羽広樹(Key)と橋本もボーカルを担う姿にはKhakiというバンドの新たな可能性を感じた。とはいえ中塩の存在は大きく、完全体のKhakiでぜひリベンジしてほしいと願う。そんな未来の約束を勝手に交わしつつ、全6組が作り上げた『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』が閉幕した。

取材・文=横堀つばさ 撮影=マモ
ここからは、レポートで掲載しきれなかったライブ写真を公開!
Hammer Head Shark



Qoodow



Acidclank



とがる



Khaki





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