2023年3月にリリースした1st EP『水槽から』から約1年半。「毒を持ちながら、グッとくる音楽」を掲げるQoodowの音楽は、底の見えない苦しさや生きづらさに柔らかな一筋の光を届けてくれる。

9月29日(日)に渋谷・TOKIO TOKYOにてKhaki、Acidclank、the bercedes menz、Hammer Head Shark、とがると共演する『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』の開催に先立ち、今回TOKIO TOKYO Knowledge Shareでは4人に話を訊いた。

息苦しさから生まれた『水槽から』や“毒”の正体、変化を楽しもうとするライブまで、4人が丁寧に紡いでくれた言葉たちをここに記す。

「綺麗なものの反対」 Qoodowにとっての“毒”

――2023年3月に1st EP『水槽から』がリリースされてから、1年半が経とうとしています。生きていくことの難しさや苦しさを繊細に描いた作品だと感じているのですが、改めて振り返ってみていかがですか。

**藤岡拓未(Gt):**もともとこの作品を制作した時は、メンバーが揃っていなくて。僕と福田とサポートのドラムの3人で作ったんです。なので、ライブで演奏することは意識せず好き勝手やりましたし、録音もほとんど3人で完結しているので大変でした。

――どういった理由からインディペンデントな形式で制作されたのでしょう。

**藤岡:**頼れる人がいなかったのが一番の理由ですけど、変な自信があった気もします。

**福田稜大(Vo,Gt):**確かにあったな。

**藤岡:**明確なゴールがあって録り始めたわけではなかったから、今の状況で工夫しながらやっていった方が面白いんじゃないかなと。

――最初の段階でコンセプトがあったというよりも、1曲1曲を制作する中で自然と『水槽から』という作品に昇華されていった?

**藤岡:**そうですね。コンセプトが無かったわけではないんですが、特定の形に整理してまとめることは目指していなかったんです。雑多であっても、この3人から出てきたものであれば自然とまとまるだろうなって。

――EPのタイトルが『水槽から』、1曲目が「水槽」ということで、1つのキーワードとして“水槽”が挙がってくると思うのですが、どういった思いを込められたのでしょうか。

**藤岡:**当時の自分が思っていたことを書き出して5曲ができた時、「息苦しいんだろうな、この人は」って思ったんです。そういう状況と、水の息苦しさやそこから逃げ出そうと藻掻いているイメージが重なったので「水槽」をタイトルにしました。

――おっしゃっていただいた通り、『水槽から』にはどこか鬱屈とした雰囲気が漂っていると思いますが、創作の源泉として苦しみや悲しみを中心に据えたいと考えていらっしゃる部分も大きいのかなと。

**藤岡:**そうですね……。多分、曲を書いた当時はうんざりしていたのかも。

――それは何に対して?

**藤岡:**EPを作ったタイミングが大学1、2年生の頃だったので、漠然とした将来への不安感もありましたし、ロシアのウクライナ侵攻が始まったことが自分的には大きかったんですよ。遠い国の悲惨な出来事や情報が次々に耳に飛び込んでくる一方で、僕は大学生として暮らしている。そのギャップに対して思う所があったんです。

――世界に目を向けた時、残酷な状況に瀕している人が多くいる中で、自分の生活に疑問を抱いていたと。今のお話はQoodowが掲げる「毒を持ちながら、グッとくる音楽」の“毒”とも関連していると感じたのですが、皆さんは“毒”をどのようなものだと考えているのでしょうか。

**藤岡:**綺麗なものの反対という感覚かな。

**福田:**あー……、そうだね。

――綺麗なものというのは、いわゆる美を象徴するようなもの?

**藤岡:**というより、整えられたもの。例えば、夕日とかを見ると感動があって。そういう感動だけを切り取るんじゃなくて、その向こう側には色々な苦しいこともある。決して綺麗なものだけじゃないよなと。

――光に対する影のようなイメージでしょうか。

**藤岡:**おっしゃっていただいたものとか、様式美や形式美みたいな部分です。

――様式美や形式美に拘泥しないというのが、楽曲構成にも表れているように感じました。

**藤岡:**確かに、様式に制限されすぎないように意識していて。どうしても自分が歌いたい方向と「ここでAメロが落ちたら気持ちいい」「ここでサビが来れば気持ちいい」みたいな構成の折り合いが付かないことが多いんですよ。その時に、自分が動きたい方向を優先していますね。

――末広さんと上河さんは、既に存在していた楽曲とどのように向き合っていったんですか。

**末広崇太(Dr):**前任のドラムの方が尊敬している先輩だったので、最初は似たようなプレーをしなきゃいけないと思っていたんですが、最近は自分の色も出せたらなと。もともと僕は軽音楽部でコピーばかりしていたので、一言一句真似るのが正しいと思っていた。でも、日頃の練習を通じて、曲の雰囲気に合わせて考えていくことが大切だなって。

**上河直柔(Ba):**あまり深く考えていなかったです。好き勝手にやらせてもらっていますね。

――様式的ではない分、一聴では予測しにくいような曲もあるかと思うのですが、その点に関してはいかがでしょう。

**末広:**Qoodowの曲は自分がこれまでやってきたものとは全然違うので、難しいです。でも、送られてくる楽曲は毎回格好良いなと思いますし、最近はその難しさも楽しめるようになってきました。

**上河:**そもそもAメロ、Bメロがあって、サビが来るみたいな音楽を聴いてきたわけではなかったので、違和感を抱くこともなく。自分のスタイルで演奏できたらな。

「バンドを一生やりたいと思った」 変化するQoodowのライブスタイル

――10月4日(金)には大阪・心斎橋Pangeaにて自主企画『また出会いましょう』も控えていますが、『FUJI ROCK FESTIVAL'24』などの出演を経た今のQoodowのライブ観を伺っていければと思います。まずは皆さんのライブの原体験を教えてください。

**福田:**僕はもともとライブハウスに行くこともなかったので、YouTubeで見た映像だったりが大きくて。当時はライブに行く意味も分かっていなかったんですけど、対バンのライブを観るようになり、音圧や音源との違いが面白いと感じるようになりました。で、最近『フジロック』に出演した時、色々なライブを観て改めて衝撃を受けましたね。

**藤岡:**プレイヤーとしての体験になりますが、中学3年生の時、卒業会でライブをやったんです。僕はボーカルだったんですけど、小さい声で練習していたためにキーを低く設定しちゃって。当然本番も上手く歌えなかったんですが、最後のサビで「一回やったろう」と思ってキーを上げたんですよ。そしたらバチーンとハマった感覚があって。その時、バンドを一生やりたいと思いました。

**上河:**僕も積極的にライブを観に行っているタイプではないんですが、ポール・マッカートニーが『エジプト・ステーション』をリリースした時の来日公演(『フレッシュン・アップ ジャパン・ツアー2018』)をほとんど最前みたいな席で観たのはよく覚えています。「これがこうだったから良かった」みたいな理由じゃなくて、言葉じゃ表現できない良さがあったんですよね。

**末広:**パーカッションを習っていたんですけど、先生がジャズバンドを組んでいて。そのバンドが頻繁にやっていた会場が使えなくなるということで、最後のライブを観に行ったんです。当時の僕は「音楽で泣くとか、あんまりないやろ」と思っていたんですよ。でも、その日はすごく泣いてしまった。今考えれば演者の感情が溢れ出ていた演奏だったからだと分かるんですけど、僕は何も分からずただ感動したんですね。小中学校の頃から音楽には触れていたし、ずっと続けていきたいとは考えていましたが、そういうライブができたらいいなと。

――末広さんからは感情が溢れているライブをしたいと伺いましたが、Qoodowはどのようなライブ像を目指しているのでしょう。

**藤岡:**ライブごとに盛り上げ方というか、どういったポイントで楽しんで欲しいかがコロコロ変わっている気がしていて。同じ曲を演奏していてもライブごとに感覚が違うので、その変化が楽しいです。

――確固とした理想像があるというよりも、毎回のライブごとの表現を楽しんでいると。

**藤岡:**そうですね。僕の性格が割とフワフワしているので、そこが理由かも。

**福田:**僕もその時々で思っていることだったり、コンディションを音として表現できたらなって。理由は分からないけど良かったと思ってもらえるライブがしたいです。

**末広:**2人が言ってくれたことと同じですね。サポートドラムという立場はあるかもしれないですけど、演奏は変に分けたりせずに一体となってやれたらな。

**上河:**さっきの原体験の話で思い出したんですけど、中学生の頃に『ONE Music Camp』でオブ・モントリオールを観て。その時に、音楽性やスタイル、何を言いたいのかがすごく伝わってきたんですよ。なので、自分たちのライブでもスタンスみたいなものを出したいです。

「テンションの高いライブができたら」 9月29日(日)『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』

――9月29日(日)に渋谷・TOKIO TOKYOにて『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』が開催されます。対バン相手はAcidclank、Khaki、the bercedes menz、Hammer Head Shark、とがるの5組となりますが、特に気になるアーティストを教えてください。

**藤岡:**Acidclankのライブ映像をSNSでよく見ていて。生で聴いたらヤバいんだろうなと。

**福田:**確かに。何度かKhakiとは共演しているんですけど、観る度に違っているので、今回はどんな感じになっているか楽しみです。

**末広:**Khakiは藤岡くんと福田さんから教えてもらってから、自分でも聴くくらい好きなバンドで。福田さんが言っていたように毎回雰囲気が違うので、面白いなと思います。

**上河:**全組楽しみです。

――改めて、9月29日『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』に向けた意気込みを聞かせてください。

**福田:**メンツ的に僕らとしては珍しい組み合わせで。僕らがその中でどのようにプレイできるのかが楽しみです。

**末広:**テンションの高いライブができたらいいなと。

**上河:**バッチリしっかり頑張ります。

**藤岡:**頑張ります!

取材・文=横堀つばさ

9月29日(日)開催『LOOSE PLAY FESTIVAL vol,2』

出演:Acidclank / Qoodow / Khaki / the bercedes menz / Hammer Head Shark / とがる

OPEN 15:30/ START 16:00

ADV ¥3,500 / DOOR ¥4,000 +1DRINK(¥600)

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