
2025年1月14日(火)、東京・渋谷TOKIO TOKYOにて『会いたいと絶対』が開催された。『会いたいと絶対』は「何かを評価するために何かを卑下するような“相対的な好き”ではなく、ブレない“絶対的な好き”が集まる場にしたい」という思いからスタートしたイベント。残念ながらNALUCKが出演キャンセルになってしまったものの、Vote for Pedro、CELCY、todoの3組が集った一夜の様子をレポートする。
Vote for Pedro

トップバッターを務めたのは、東京を拠点に活動するスリーピースバンド・Vote for Pedro。ササキ(Vo,Gt)のアルペジオと共に照明が立ち昇った「tears」をオープニングナンバーに据えると、坂本(Dr)のフルパワーのビートとバキバキな石井(Ba)のプレイに乗せて、ササキのシャウトがこだましていく。一方、思わず漏れたがごとく呟くフラジャイルなボーカリゼーションも魅力的で、インタビューにて自身の武器だと語ってくれた歌声の強靭さを提示。
「eyes」から「farewell」を連ねたブロックでは、<変わらずにいるよ 季節が巡っても><何かになれなくても君は 君のままでいれば良い>と彼らが不変であり続けることに誓いを立てると同時に、少しづつ移ろいゆく周囲に対して、ありのままでいて欲しいと伝える。こうしたメッセージをより強固にした新曲で取り戻せない時間へと手を伸ばし、「spill」をドロップ。グッとテンポダウンしたアンサンブルで助走を確保したことにより、続く「youthless」のリリシズムが生き生きと溢れかえると、「cycle」をラストに鳴らす。ここまでVote for Pedroが問いかけてきたのは、変化の寂しさと変わらない美しさ。しかし、彼らは逃れることのできない明日から目を背けているわけではなく、記憶をきちんと飾ることが巡り巡って今日のガソリンになることを知っているのだ。だからこそ、ササキの「未来は俺らの手の中だろ!」という咆哮が、切にフロアへと染み渡っていった。
CELCY

終盤、「また会いましょう」と言葉を添えて「March」が鳴らされた時、『Purplepool』がこの曲で締めくくられることが腑に落ちた気がした。スッと吹き抜けていく歌の香りが強いこの楽曲は、エモやメロディックパンクといったジャンルに括られることのないCELCYを示すために必要だっただけではなく、おそらく<あの時の言葉は 今になって 分かるかもしれないな>と、春の芽吹きとシンクロするほのかな希望を託すために欠かせなかったのだ。確かに、インタビューによれば、彼らの楽曲は悲しみや後悔をペン先の始点にしているし、早急なビートと武骨なベースが血液を沸々と滾らせることも疑う余地はない。しかし、噛み締めるように掻き鳴らしたイントロからハミングが添えられたアウトロまでは、過去に背を向けて手を振りながら先へと進んでいく様子をイメージさせるほど、柔らかな煌めきを放っていたのである。
もちろん、同ナンバーがヴィヴィッドに響いたのは、付け入る隙を与えないほどの手数をトレードマークとする「SHRED MASTER」や「Flashback」があったからこそ。終止符を打った新曲「Sonicboom」で広大なサウンドスケープを描き、渋谷での初ライブを終えたCELCY。シームレスに全10曲を詰め込んだ彼らの舞台は、爆走と形容するべき全速力っぷり。その分、グッとテンポを落としたブレイクが濃く縁取られていたのも印象的で、現在彼らが追い求めているという「空白」の片鱗も読み取れるステージだった。
todo

ドラムに巻かれたイルミネーションがぽわぽわと舞台上に浮かび始める。眠りにつく前の常夜灯を彷彿とさせる明かりの中で展開されたtodoのショータイムは、簡素な挨拶から「blue」で第一歩を踏み出した。そのまま静謐なファルセットがシンボリックな「sister」を束ね、火照った体を冷ましていく。「2025年初ライブです。今年もよろしくお願いします」と伝え、披露されたのは「Landscape」。丸みを帯びたバスドラムの上で、空気をたっぷりと含んだ北原瑠花(Ba,Vo)の歌声と伊藤愛(Gt)のコーラスワークが混ざり合いながら、夏草の匂いを漂わせた。
フィナーレを飾った「platform」の最終行<変わっていくよ 変わっていくよ>の一節で浮かび上がってきたのは、今夜の3バンドがそれぞれに抱いてきた時間の捉え方だったと思う。変わってしまうことは百も承知の上で、それでも変わらない自分自身であることを歌で彫り付けるVote for Pedro。<答えは未だ分からないけれど ゴーイング 日常>と不可避の毎日に全霊で挑むことが後の意味になると伝えたCELCY。そんな中、todoはどうあがいても留めておくことができない大切な人との距離や、時と共に擦り減っていった感情に目を向けていた。時間は取り戻せない。だから、変わらずにあろうとするのではなく、変わっていった関係や思い出、そして自分自身にハグをしてあげること。こんなことを歌ってきたからこそ、2人の音楽はノスタルジーを具現化することができるのだ。ついてしまった足跡たちをtodoが照らした30分。会場には、ゆっくりと目を閉じたくなる温もりと安心感が充満していた。
取材・文=横堀つばさ
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