
あの時、イヤホンを分け合って聴いた歌。帰り道に熱唱しながら流していた曲。再生ボタンを押せば、私たちはいつだって過去の思い出へジャンプできるはず。
東京発のスリーピースロックバンド・Vote for Pedroが2024年6月にリリースした2nd EP『search』には、変わらずに音楽を続けていくことを宣言する「youthless」をはじめ、ありきたりな日々を意味づける全4曲が収録されている。
2025年1月14日(火)にCELCY、NALUCK、todoと共演する『会いたいと絶対』の開催に先立ち、今回TOKIO TOKYO Knowledge ShareではVote for Pedroの3人に初インタビューを実施。
歌を、そして歌詞を届けんとするVote for Pedroの音楽は、あの頃を思い出すよすがだ。
「自分たちを歌モノだと思っている」 歌と歌詞を届けるVote for Pedroの音楽
――インタビューは今回が初めてということで、まずは皆さんのルーツから伺わせてください。皆さんは、どのようなキッカケで音楽を始めたのでしょうか。
**ササキ(Vo,Gt):**高校3年生の時、好きだった子に告白しようと思って、ベースを始めたのがキッカケでした。人がいる場所だったら振られないだろうという計算があって、ライブ中に告白しようと考えたんですよ。結局、その子はライブに来てくれなかったんですけど、そこでライブの楽しさに気づいて。大学に進学してからギターボーカルを始め、今に至ります。
**石井(Ba):**僕は小学校の時から運動一筋だったんですが、高校3年生の時に文化祭で何かやってみたいなと思って。ステージに立ちたい思いもありましたし、自分が一番恥じらいなくできるバンドを始めたんです。その時はドラムをやっていたんですけど、大学に入って軽音楽部の先輩がやっていた銀杏BOYZのコピーバンドが凄く格好良くて。その人の真似をするようにベースを弾き始めました。
**坂本(Dr):**アニメの『けいおん!』を観て、音楽やバンドをやりたいと思ったのがスタートでしたね。でも、中学高校は軽音部がなかったこともあって、吹奏楽部でパーカッションを担当していて。大学に入り、念願だったバンドを始めた感じかな。
――それぞれ部活やサークル活動でバンドに触れたんですね。Vote for Pedroの始動は2022年の7月とのことですが、どのような経緯で結成に至ったんですか?
**ササキ:**2022年の3月頃に東京に引っ越してきたタイミングで、バンドをやりたいと思って。もともと友人だった坂本を誘って、10月くらいからライブ活動を始めました。2人で活動を続ける中で、僕の働いているライブハウスに石井が出演していたんですよ。それで「めちゃくちゃ良いな」と思い、声をかけたんです。僕としては、友達とバンドをやりたいという思いが強いんですよね。先ほどもお話しましたが、高校生の時に告白するために始めたのがバンドで。それが楽しかったから続けているし、僕にとってはバンド以上に楽しいことが見つからなかった。だから、友達とじゃなかったらバンドを選ぶ必要もないし、凄く楽しい遊びなんですよ。決して軽視しているわけではなく、やるからにはちゃんと遊び切りたいなと。
――Vote for PedroはSEVENTEEN AGAiN主催『リプレイスメンツ』への出演を一例に、エモやパンクの文脈に位置づけられることが多いと考えているんです。実際、皆さまのルーツもそういったシーンにあると思うのですが、自分たちをどういったシーンに位置づけているのでしょうか。
**ササキ:**まず大前提として、エモやシューゲイザー、マス、オルタナっぽい音楽シーンが近年盛り上がってきているのを肌で感じていて。とはいえ、やっぱりそのシーンは小さいコミュニティだし、ギターロックやポップなエッセンスがある音楽の方が広い間口を持っているじゃないですか。そういう時代の中で、確かに僕らはbloodthirsty butchersやCOMEBACK MY DAUGHTERS、The Get Up kidsの影響を受けていますし、エモやオルタナのバンドたちと対バンする機会も多いけれど、自分たちを歌モノだと思っているんですよね。
――歌モノというのは?
**ササキ:**僕の歌が一番表面に出てくるという意味かな。きちんとしたメロディやいわゆるギターソロ、Bメロ、落ちサビがあることで、僕の歌が届きやすくなっている音楽。そうやって、僕の歌を届けたり、高い解像度で歌詞を聴いてもらうことを中心に置いているから、先ほど話に登場したコミュニティには属せない感覚があるんです。もちろん、彼らと一緒にライブもやるし、音楽も好きだけれど、ジャンル的には違うことをやっているなって。
**石井:**エモやオルタナが好きだから漏れ出てるだけで、そこを目指しているわけではないよね。先ほどの結成の話とも繋がるんですけど、自分が昔やっていたバンドで2人と共演した時には、エモっぽいとは思わなかったんですよ。純粋に「曲が良いな」と思った。そうやって感じている時にバンドに誘ってもらったから、加入を決めた部分もあったかな。
――メロディや歌以外に、歌詞を届けたいというお話もありましたが、歌詞に焦点を当てている背景は何なのでしょう。
**ササキ:**もともとメロディ-も付けずに歌詞を書くことが好きでしたし、今も歌詞を書くのが一番好きで。生まれた田舎の情景が浮かぶというか、故郷や好きだった時間、一つ一つの思い出をいつでも思い出せるようにするフォルダが歌詞なんですよね。そういう情景が浮かぶ歌詞が僕らの魅力だと感じていますし、そこを引き立てるための歌モノであり、バンドでもあるんです。
「ずっと変わらない存在でいたい」 無意味な日々を意味づける2nd EP『search』
――2024年6月に2nd EP『search』がリリースされました。理想に対して手を伸ばす懸命さや焦燥感が滲む1枚だと思いましたが、本作を振り返ってみてどのような1作になったと感じていらっしゃいますか。
**ササキ:**僕が住んでいた青森は、昼から遊んでも夕方には全ての娯楽を楽しみ切れるくらいの田舎で。遊びたいのに行くところもなくて、夜まで車で海沿いを走ったり、意味のないことをしていたんです。『search』には、そういう無意味なことばかりしていた時期の気持ちを忘れたくなくて作った4曲が収められているんですよね。だから、寂しさや行き場のない気持ちが表れていると思いますし、一見意味がなかったような出来事にも未来の自分が意味を付けてあげられたらと思って、『search』というタイトルにしました。
――このタイミングで過去の出来事に意味付けをしようと思った理由は何だったのでしょう。
**ササキ:**当時の僕は仕事や生活に追われていて、何を楽しみに生きていたかも分からない状況だったんです。だから、歳を取ってから当時を振り返ったとしても「仕事をしていたな」としか思えないと感じた。でも、その期間のことを音楽にパッケージングして歌い続けることで、あの時期に意味を持たせたり、込められていた意味を探すことができる気がしたんです。
――歌うことを通して、意味を探すこと自体が重要だったと。
**ササキ:**それもあるし、音楽は好きなように受け取ってもらえれば良いと思っているんですよね。「youthless」で<名前なら君が僕につけてよ>と綴ったのは、例え僕がその時間に意味を感じることができなくても、相手が価値を感じてくれるなら良いと思ったからで。ある期間の良し悪しは僕の歌で決めてほしいなって思いを込めました。
――<変わらずにいるよ 季節が巡っても>と歌う「eyes」や<大人になるまでの暇つぶしなら 僕ら大人になるまで続けよう>と綴られた「youthless」をはじめ、本作には一貫して進み続けていくことへの決意が表れていると感じています。先ほど、バンドを遊びと捉えているというお話もありましたが、なぜ本作では歌い続けていくことを宣言しているのでしょうか。
**ササキ:**一生音楽を続けたいと思っていることは前提として、僕は「変わらないね」と言われるのが好きなんですよ。人は出世や就職、結婚のようなタイミングでどんどん変わっていく。でも、変わらない人と会うと一瞬で時間が戻った感覚になるじゃないですか。そういう人は有難いけれど、結局いなくなってしまう。だからこそ、僕はずっと変わらない存在でいたいんです。もちろん中身は変わっていくけれど、ずっと歌い続けていれば、周囲からは「あいつは変わらずに歌っている」と思ってもらえるなって。自分の中身が変わったとしても、周囲から見た時に変わっていない存在であるために、変わらず音楽を続けていることを宣言しているんだと思いますね。

CELCY、NALUCK、todoと共演。2025年1月14日(火)『会いたいと絶対』
――2025年1月14日(火)に『会いたいと絶対』が開催されます。対バン相手はCELCY、NALUCK、todoの3組となりますが、それぞれに対するイメージを聞かせてください。
**ササキ:**僕ら4バンドは共通のシーンに属していると思うんですが、同じ円の中でも交わることは多くないんです。近い距離感でもないけれど、決して遠いわけじゃない、みたいな。だから、この4バンドが集まる機会ってなかなかないんですよね。それぞれの面白さがあり、年齢も近い中で、僕たちらしいライブを突き抜けてやりたいなと。

――改めて、2025年1月14日(火)『会いたいと絶対』に向けた意気込みをお願いします。
**ササキ:**2025年は制作に注力するつもりなので1月の数少ないライブのうちの1つですし、新年1発目のライブになる予定で。2025年の良いスタートを切れるように、1番良いライブをしたいと思っています!
取材・文=横堀つばさ
2025年1月14日(火)開催『会いたいと絶対』

出演:CELCY / Vote for Pedro / NALUCK / todo
OPEN 18:00 / START 18:30
ADV¥2,200 / DOOR¥2,700
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