東京・八王子を拠点に活動するCELCYが5月にリリースした1stミニアルバム『Purplepool』は、彼らがリスペクトを捧げるCOUNTRY YARDやLOSTAGEらの音楽を幾度も咀嚼し、「いかにオタクであるか」にこだわったという自身の視点でもってアウトプットへ至った1枚だ。楽曲の強度や余白の少なさを意識したと語る本作には、強靭さと煌めきを兼ね備えた全8曲が収められている。

今回TOKIO TOKYO Knowledge Shareでは、2025年1月14日(火)にVote for Pedro、NALUCK、todoと共演する『会いたいと絶対』の開催に先立ち、圭(Vo,Gt)とリュウキ(Ba)の2人に話を訊いた。

メロディックパンクやエモに留まることなく、いかなるシーンでも存在感を放とうとしている彼ら。そんなCELCYの今へ迫るバンド初インタビュー。

目指すフロアはCOUNTRY YARD。自然と滲むルーツと対峙して

――インタビューは今回が初ということで、まずは結成の経緯から伺わせてください。2022年にCELCYを結成されたとのことですが、どういった流れでCELCYが誕生したのでしょうか。

**圭(Vo,Gt):**2022年の初めに、専門学校の同級生とバンドをやることを決めて。その同級生の後輩がリュウキ(Ba)だったんです。人手が足りなかったこともあり、結成当初は僕がドラムを担当していたんですが、同級生の脱退に伴ってもともとやりたかったギターボーカルに転身しました。

――リュウキさんがバンド加入を決めた理由は?

**リュウキ(Ba):**コロナ禍だったから、純粋に時間があったんですよ。高校の時は軽音部に所属していたものの幽霊部員で、ライブハウスにも触れてこなかったから関心があった。そういった状況で先輩に誘われたので、興味本位で始めましたね。

――リュウキさんは軽音楽部だったとのことですが、そもそもお2人はCELCYを結成するまで、どのような音楽に触れていたんですか?

**リュウキ:**母親がELLEGARDENやdustboxを流していたので、幼い頃から自然と体にバンドは染みついていたんです。とはいえ、自分でバンドを聴くこともなく、時々で流行っている音楽を聴くくらいでした。そのように音楽と関わってきた中で、高校生の時、周囲の影響でcoldrainやFACTに出会ったんです。そこからは、ラウド系の音楽を中心に聴くようになりましたね。

**圭:**自分のルーツとしてはCOUNTRY YARDの存在が大きくて。18歳で上京してからはライブに足繁く通っていましたし、音楽性の影響だけじゃなくて、あんなフロアを作りたいと思ったんです。COUNTRY YARDをキッカケに、malegoat(※COUNTRY YARDのYu-ki Miyamotoも活動している東京・八王子のバンド)を聴き始め、そこでエモに触れたんですよ。そこからAmerican FootballやCap'n Jazz、The Get Up kidsを聴き始めたので、CELCYはメロディックパンクを土台にエモやオルタナ、インディロックの要素を加えた音楽性になっています。

――お話いただいた通り、CELCYの音楽からはメロディックパンクやエモのエッセンスを感じます。結成当初から、現在のような音楽性を志向していたのでしょうか。

**圭:**もともとバンドがやりたかったこともあり、結成前から1人で制作も進めていたんです。なので、音楽性に関しては結成当初から大きく変わっていないかなと。ルーツは自然と色濃く出てしまうものだと感じているので、その上でひたすら曲を作っていますね。

空白を作らないごつい1stミニアルバム『Purplepool』

――5月1日にリリースされた1stミニアルバム『Purplepool』は、ここまでお話いただいたエモやメロディックパンクだけではない多角的なルーツが15分に凝縮された密度の濃い1枚だと感じています。本作の制作にあたって、どういったビジョンを持っていたのでしょうか。

**圭:**ライブに伴ってシンプルに曲が必要だったから、2022年の中頃から作曲を進めていって。前提として名盤と呼ばれるアルバムは捨て曲がないと思うんですよ。良い1枚にするためにコンセプトを設けることも重要だと思うんですけど、今回はそこに執着せず楽曲の強度を大切にしました。あとは、途中でダレないようにしたかったので、今回のアルバムは空白を作らないことを意識しましたね。

――空白というのは、曲間のこと?

**圭:**そうですね。途中でインスト曲も入れていないですし、曲間に間を持たせることもしなかったんです。ライブも同じなんですが、まだ空白の時間が怖い。

――曲間への恐怖心は、何に由来するものだと思いますか?

**圭:**よく観ていたメロディックのバンドたちが矢継ぎ早に曲をやっていたことが大きいんじゃないかな。1時間半で30曲演奏するのが普通、みたいな感覚で育ったので、曲は繋げるものだと思っていたんです。でも、最近は余韻を生み出したいと考えていて。次の作品はテンポを落としたり、余白に重きを置ければなと。

――リュウキさんは『Purplepool』を振り返ってみて、どのような1枚になったと感じていらっしゃいますか。

**リュウキ:**色々なことをやっている1枚だと思います。僕らはお互いにどのような思いで曲を作ったのかを共有しているわけじゃないんですよ。でも、圭くんが納得して渡してくれた作品であれば、僕も納得できる。圭くんがやりたいことをやってくれたら良いんです。

――リュウキさんはプレイに徹する感覚が強いと思うのですが、演奏においてどのようなポイントを意識しているのでしょう。

**リュウキ:**基本的にルートをなぞっているので、土台がブレないようにしています。

**圭:**スリーピース編成でメロディアスなベースフレーズが多いと、軽い印象を受けるんですよ。だから、フレーズよりも音のごつさで魅せたいですね。

――イントロの手数の多さが印象的な「SHRED MASTER」は、まさしくごつさが前面に出た1曲です。

圭:「SHRED MASTER」は「Origami Angelっぽいね」と言われることが多かったので、それに対する反骨精神から生まれた曲で。Origami AngelとThe Smashing Pumpkinsを意識して作っていきました。ドラムのフレーズはArctic Monkeysをイメージしています。

――Arctic Monkeysのイメージは「Brianstorm」ですか?

**圭:**まさしく。Arctic MonkeysやBlur、Oasis、Bloc Partyをはじめ、高校くらいからUKロックが好きだったから、『Purplepool』にもUKロックのルーツが出ているかな。

――お話いただいた「SHRED MASTER」だけではなく、CELCYの楽曲は武骨なベースやドラムが基盤にあることによって、ギターやボーカルのメロディーの美しさが引き立てられていると思うんです。こういった優美なメロディーは、どのような発想で生まれてくるのでしょうか。

**圭:**メロディーは一番最後に作るんですが、みんなで歌えるキャッチーなものにしたいと考えています。エモのシーンでは、中音を大きめにして楽器で圧倒するバンドも多いじゃないですか。でも、僕はLOSTAGEやbachoに影響を受けたこともあって、シンガロングして欲しい。そういう魂に訴えかけるメロディーを追究していった結果、メロディックでも歌モノでも戦える気がしていて。色々な音楽が混じり合っている場所でどれだけ自分たちの存在感を出せるのか、ポンと違うシーンに放り込まれた時にどれだけ面白いことができるのかを意識しています。

――圭さんはnoteにて作詞が苦手と書かれていましたが、メロディックパンクやラウドでは英詞でのアウトプットも一般的だと思うんです。にもかかわらず、日本語詞を選択しているのはLOSTAGEやbachoの影響?

**圭:**おっしゃる通り、その2組とAnd Protectorからの影響が大きいです。でも、日本語の歌詞は逃げ場がないというか。直接的な表現は未だに照れ臭い部分もあって、抽象的な表現をしていますね。

――抽象的とはいえ、<次の季節まで どうか元気でいて>と歌う「March」や<この先にはきっと 目も開けられないような 眩しく素敵な時が待ってる>と綴られた「Good Times」をはじめ、過去への後悔を踏まえながらも前へ進むしかないことを描いていらっしゃる印象です。

**圭:**僕としては、ネガティブな歌詞ばかりだと感じているんですよ。自分が思っていたことや経験したこと、過去に味わったことを振り返る中で、自然とマイナスな方向に進むことも多いので。

――負の感情が歌詞に出てくることが多いのは、なぜだとお考えですか?

**圭;**小中学校時代は吹奏楽部に所属していたんですが、先生の人が厳しくて。そこで怒られ癖ができちゃったんですよね。周囲には明るく振舞っていたけど、1人でギターを弾いている方が好きだった。今までの人生を振り返った時、誰かといる時間以上に1人の時間の方が多いですし、性格的に暗いのかな……。

――後悔や未練を吐露しているシーンも多いですが、楽曲を拝聴する限りでは暗い印象は受けないですよ。

**圭:**表現はあくまでも表現として、自分の人間性と別で考えているのも大きいかも。作品性を持たせるべきだと思っていますし、等身大の自分を書いてもキマらないじゃないですか。だから、作品性と人間性はイコールになっていないんです。自分の感情を投影させる以上に、リスペクトする音楽を自分の中で落とし込む方が大事。いかにオタクであるか、って感じです。

Vote for Pedro、NALUCK、todoと共演。渋谷での初ライブとなる2025年1月14日(火)『会いたいと絶対』

――2025年1月14日(火)に『会いたいと絶対』が開催されます。対バン相手はVote for Pedro、NALUCK、todoの3組となりますが、それぞれに対するイメージを聞かせてください。

**圭:**NALUCKとは今回が初めての共演なので、どんなライブをするのか楽しみです。todoは自分たちのホームでもある八王子RIPSの先輩で、今よりももっとオーバーグラウンドで戦えるバンドだと思っていますね。Vote for Pedroはライブを観る度に格好良くなっているバンドだと感じていますし、同年代ということもあって僕らと目指している場所が近いかなと。

――改めて、2025年1月14日(火)『会いたいと絶対』に向けた意気込みをお願いします。

**圭:**純粋に呼んでいただけて嬉しいですし、渋谷でライブをするのは今回が初めてで。前回の『会いたいと絶対』ではSHE'll SLEEPとHONESTが出演していたと思うんですけど、ありそうでなかった組み合わせで面白いなと思っていたんです。そういうイベントに呼んでいただいたことに恥じないライブをします!

取材・文=横堀つばさ

2025年1月14日(火)開催『会いたいと絶対』

出演:CELCY / Vote for Pedro / NALUCK / todo

OPEN 18:00 / START 18:30

ADV¥2,200 / DOOR¥2,700

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