2025年3月29日(土)、TOKIO TOKYOにて171とthe bercedes menzが対峙する。「日本で一番音がデカかった瞬間」「ロック、ライブハウスに新しい時代が来たぞって確信させる日」とそれぞれが語る『ONE WEEK WONDER’25』の開催を目前に、今回TOKIO TOKYO Knowledge Shareでは2組による対談を実施。「爆音を轟かせるスリーピースバンド」としての共通点を抱きながらも、2組は異なる表現を突き詰めている。時に背中合わせで、時に額を突き合わせて、ポップとアンダーグラウンド精神を融合してきた両者の邂逅をここに。

「ここまでやっても大丈夫なんだ」と火が付いた(田村)

――3月29日(土)にTOKIO TOKYOにて171とthe bercedes menzのツーマン企画『ONE WEEK WONDER’25』が開催されます。お二組は今回が初めての対バンとなりますが、オーディエンスの皆さまからの反応も含め、待ち望まれていた共演だとお見受けしています。まずは、お互いの存在を知ったキッカケを教えてください。

**和田(the bercedes menz・Vo,Gt):**2024年くらいから、ちょくちょくフェスとかで被るようになったり、前後の出演順だったりすることもあって、存在を知っていきました。お客さんの雰囲気も何となく近い印象もあり、作品にも触れ始めましたね。

**田中喉笛(the bercedes menz・Ba):**171を知ったキッカケは、カナちゃんがSNSで我々のことを投稿してくれていたことでした。自分たちの作品を171というバンドの人が聴いてくれているんだとなり、こちらも171の楽曲を聴き始めた感じです。

――171のお二人はthe bercedes menzをどのようなキッカケで知ったのでしょう。

**田村晴信(171・Vo,Gt):**僕らは遠征中に車で音楽をかけるんですけど、その時にドラムのモリモリがthe bercedes menzの楽曲を見つけてきたんですよね。当時は遠いところで顔の見えない人たちが活動している印象だったんですけど、喉笛さんのSNSを見つけて面白いなと思い始めた、みたいな。

**カナ(171・Vo,Ba):**一時期、モリモリはずっとthe bercedes menzを流していたから必然的に私たちも聴くようになって。普段はお互いに好きな音楽をかけたとしても、それで完結することが多いんですよ。でも、バンド名がパッと一発で覚えられる名前だったこともあり、そこからどんどん知っていきました。

――皆さんがお互いのバンドと出会った経緯を伺わせていただきましたが、現在、お互いの楽曲に対してはどのようなイメージをお持ちですか。

**和田:**人の音楽に対して感想を伝えることは語弊を生んだり、難しいと思うんですけど、それを恐れずに言うと、飾らない感じが格好良いなと思っています。特に僕は『マイ セカンドカー』をよく聴いていたんですが、カナさんがメインボーカルをされることで不思議な浮遊感もあって。懐かしいけど、斬新なイメージがありますね。

**田中:**音源も含めて、現場主義というか、ライブにしかない圧やスピード感を大事にしていることが凄く想像できるバンドだなと。

うつぎ(the bercedes menz・Dr):「インターセクション」を聴いているとダンサブルな四つ打ちで、それこそ我々のライブを見ているような感覚もあると思うんですよ。でも、「快速急行」とかは語弊を恐れずに言えば、THE イナズマ戦隊とかの空気を感じるというか。喉笛が書く僕らの歌詞は基本的に架空の物語なんですけど、171は自分の得意が分かっているから、周りの生活を歌っていて。曲の幅が広い印象ですし、ドカドカやっているところも格好良いなと。

田村:「ライブバンドとしてやっていこう」というのは3人が共通して抱いている見解ですし、素朴さみたいな側面も個人的には物凄くこだわっているところで。めっちゃ嬉しいです。

――反対に、171のお二人はthe bercedes menzの楽曲に関してどのような印象を抱いていらっしゃいますか。

**田村:**対バンが決まってから改めて何回も楽曲を聴かせてもらったり、『mutist beach』も聴かせてもらったんですけど、やっぱりミックスが凄いなっていうのが何よりもの第一印象で。「俺たちはこれが大好きなんだ」って音楽をお客さんに思いっきりぶつけた結果、ファンの方のストライクゾーンに当たっているのが凄い。僕はミックスをする中で、「ここまでやったら、置いていってしまうんじゃないか」みたいな感覚もあったんですよ。でも、「ここまでやっても大丈夫なんだ」と火が付いたので、次からは俺たちも全部上げてやろうと思っています。

**田中:**音が一番デカい時に一番良く聴こえるようにしてもらいましたし、踏み込みたいところに正しくアクセルを踏め込めたかな。だから、それを汲んでくれて嬉しいです。

――以前、田中さんと和田さんにインタビューさせていただいた際、自分たちは音源に主軸があるバンドだという旨をお話されていて。一方で、田村さんからは171がライブバンドでありたいと思っているとおっしゃっていただきましたけれど、その点では対照的かもしれないですよね。

**田中:**それは確かに思います。今でも僕らは変わらず音源バンドだと思っていますし、音源を聴いてもらわないと伝えきれないポイントがあるから。そういう意味では対照的な気もしますね。

――カナさんはいかがですか?

カナ:単純にthe bercedes menzのことはめっちゃ好きなんですね。なかなか生活が上手くいかなくて、限界だった時に『ザ・ベルセデス・メンツの幸福な子供たち』をずっとリピートしていたんですよ。だから、喉笛さんが最大音量で聴いた時に良くなる音源だと話していらして、正しい聴き方ができてたんやなと。楽曲について言うと、ダンサブルだったり、メロディーが切なかったり、直感的に楽しめる音楽だと感じていて。ポップさと破滅が融合するんや、みたいな驚きが毎回あります。

――今カナさんがおっしゃった内容は、the bercedes menzが掲げてきたハードコア×J-POPの数式と重なっていると感じました。

**田中:**おっしゃっていただいたように、そういう音楽をやりたいとも思っていますし、語感をはじめ、色んな部分を気にしているので。細部まで聴いてくれてとにかく嬉しいです。

アンダーグラウンドな感覚とポップスであることは両立できる(田中)

――それでは、ここまで度々お話に出てきた歌詞について伺います。先ほどうつぎさんのコメントにもあったように、171の歌詞は固有名詞が登場することをはじめ、強く生活と紐づいているわけで。そうした中で、田村さんと田中さんのソングライティングは全く異なる性質をはらんでいるように思うのですが、お二人はどういった部分から歌詞を生み出しているのでしょう。

**田村:**バンドを組んだ当初は暗くて格好良い曲を出したかったんですけど、そういった楽曲を書くのが難しいこともあり、そこにこだわっていくのは現実的じゃないと思って。正直なところ、僕は自分の内から出るものを出すしかなかったというか、僕にとっては自分を書くことが初歩中の初歩だったんですよね。でも、そうやって自分のことを書いた歌詞を、言っていただいたように「飾らない」と評価してもらうことも増えて、これで良いんだと思えた。逆にthe bercedes menzの歌詞は物語性が強いですし、自分とは全く違う書き方を取り入れていると思うので、気になります。

**田中:**自分は最初に曲名を考えてから、歌詞を付けていく方法をとっていますね。とはいえ、仮歌で入れた言葉の母音は大切にするようにしていますし、その後ほとんど変わることもなくって。なので、母音の響きを大切にしているのは事実なんですけど、物語っぽくなっている理由は単に自分に書くことがないからなんです。何か立派なことを発信できる人間じゃないから、自分で自分の中身を出すことが難しい。どこかに自分の気持ちを織り交ぜたいとも思うんですけど、まだやっぱり恥ずかしいかも。

ーー曲を書く順番も全く違いますけど、タイトルからスタートを制作させる手法はなかなか珍しいなと。

**田村:**そう思います。でも、作品のタイトルが興味深いからこそ、パッと流れてきた時についつい再生したくなってしまうというか。どうやってタイトルを付けていらっしゃるんです?

**田中:**日頃から「これを使いたいな」ってワードがメモに溜まっていて、そのタイトルメモを活用している感じです。

**カナ:**絵描きの方みたいなやり方じゃないですか? 全体像が見えている上で色を付けながら、細かいところを描いていく感じ。

**田中:**まさに、イメージ的にはかなり近いかもしれないですね。

ーー逆に、171の楽曲はどういった所からタイトルを命名しているのでしょう。

**カナ:**曲と歌詞ができた後よね。

**田村:**本当にギリギリまでタイトルだけが決まらないこともあるくらい。

**カナ:**私たちはその時に収録した楽曲を、時間を置かずにリリースすることが多いので自分たちが思っているテーマが自然と共通しているんですよ。

**田村:**生活のテーマ、みたいな。

**カナ:**そう、そのテーマや共通項がタイトルに繋がっていて。でも、お話を聞いて、一回そのやり方にも挑戦してみたくなりました。

**和田:**ギターウルフのセイジさんが「曲は曲名できたら95パーセント完成だ」みたいなことを言っていたらしく、喉笛くんはその影響を受けているんです。

**田中:**最初はその言葉に影響を受けて、タイトルから決めるようになりましたね。最近は自分にこのやり方がハマったのもありますけど。

ーー先ほど、カナさんはthe bercedes menzの音楽を「ポップスと破滅をミックスさせている」といった形で表現していましたけど、171の中にもポップネスの源は間違いなく流れているわけで。お二人はポップスに対してどのような距離感で望んでらっしゃいますか。

**田村:**ポップネスを排除していた時期もあったんですが、今はポップさや聴きやすさを大事にしたいと思っています。というのもある時、ボーカロイドのフィールドで活躍されている方からメロディーの弱さを指摘されたんですよ。ボーカロイドというキャッチーさがシビアに要求されるエリアで戦っている方からのコメントだったので、「確かにそうかもしれない」と思いましたし、ポップさとアンダーグラウンドな感覚は両立するんだと気付けたんですよね。そこからはポップなメロディーを意識したり、「これをうちのバンドでやっていいのか」みたいな考えも取っ払って、制約なしに作ることができています。

ーーメロディーがポップであっても、171の3人で音を鳴らせば自分たちの音楽になると気づけた。

**田村:**そうですね。いわゆるセルアウトというか、アンダーグラウンド感がなくなったと思われないか、みたいな心配はあったんですけど、自分たちの音があったならそれで良いと思えた。やっぱりどんな人でも良いメロディーが好きじゃないですか。そうやって考えられたことが、自信にも繋がったかな。

ーー田村さんにおっしゃっていただいたメロディーへのこだわりはthe bercedes menzも持ち合わせているものだとお見受けしているのですが、メロディーのポップネスとサウンドのアンダーグラウンドな雰囲気のバランスはどのように確保しているのでしょう。

**田中:**田村さんが言ってくださったように、アンダーグラウンドな感覚とポップスであることは両立できると強く思っていて。でも、そのバランスはどちらかを引っ込めて、片方を引き立たせるとかじゃなくて良いと考えているんです。双方が100パーセント主張していたとしても、曲は成立するだろうっていうか、極端な話成立しなくても良い。結果的にそれを曲としてしまえば、その曲にならざるを得ないので。

**田村:**僕もメロディーや構成のポップさとか、分かりやすくキャッチーに繋がる要素に関しては全力投球するだけだと思っていますね。例えば、楽曲の途中でテンポを変える手法はフックになる明確な魅力がありながら、ロックの格好良さが詰まった瞬間だと思うんです。結局それって「この音楽のここが好き」「ここが格好良い」を詰め込むポイントでしかないから、自分の100パーセントを出すしかない。一方で、歌詞については悩むことが多くて。歌詞が分かりやすいと浅はかに見えてしまう気もしますし、照れくささもある。良い歌詞を書いて世の中に出す覚悟を決めないととは思いつつも、やっぱりちょっと恥ずかしさは残っているかなと。

**カナ:**個人的には難しい言葉を使いすぎない方が格好良いなと思っていて。誰にでも分かる言葉だけど、その人にしか表現できひん具体的な生活や悩みが描かれた上で、聴いた人が勝手に頭の中でその世界を組み立てていける歌詞。私はポップとか、恥らいとかよりも、それぞれが自分の形で受け取ってもらえる言葉を書きたいですね。

――田中さんは、歌詞のライティングに関していかがですか?

**田中:**僕はお二人とは違って自分のことを書いているわけではないですし、和田が歌うことも大きいんですよ。自分の手を離れて言葉が歌われるから、自分がその世界を背負っていく感覚もなくて。だからこそ、スッと書くことができているのかも。

和田:「この歌詞を作りました」みたいな顔をして、俺は歌ってますから(笑)。

「日本で一番音がデカかった瞬間を」3月29日(土)開催『ONE WEEK WONDER’25』

――3月29日(土)に『ONE WEEK WONDER’25』が開催されます。ここまでのインタビューでお互いに対する思いを存分に語っていただきましたが、改めてお互いのライブに対してどのようなことを期待していますか。

**田村:**171のライブって音源を聴いた人なら「こんなライブをするんじゃないかな」となんとなくイメージできると思うんですけど、the bercedes menzはどんなライブをするのかが想像できなくって。近しい思想に基づいて作品が作られている中で、どんなステージになるのか楽しみです。

**カナ:**爆音で聴いていたあれやこれやを目の前で体感できるということで、最初にthe bercedes menzの曲を聴いた時以上の感動と衝撃を待っています。

**和田:**音源やライブ映像を見させてもらって、とにかく熱いところが譲れない部分なんだろうなと思っていて。今日のお話で、音楽に対する誠実さや真摯さが凄く伝わってきたので、そういった部分もデカい音で体感したいですね。

**うつぎ:**僕らが先行としてお客さんの耳を埋め尽くしちゃおうと思うんですけど、それでも聴こえるくらいの爆音をかましてほしいと思っています。あと、もちろん爆音っていうひとつの共通点もありつつ、冒頭でも申し上げたように僕は171のノスタルジックな側面に魅力を感じていて。そこもめちゃめちゃに楽しみたいです。

**田中:**音の大きなスリーピースバンドとして共通項はあれど、視点や作り方は意外と逆だったりしていて。うちらは「音源バンド」と言っている一方で、171は「ライブバンド」と言っているので、「決着つけようや」って感じです。

ーー今の相手からの宣戦布告を踏まえ、3月29日(土)はどんなステージ、どんな1日にしたいですか。

**うつぎ:**ドラムは唯一生音が大きく届く楽器なんで、その音をいかにどデカくするかにこだわっていけたらなと思います。

**和田:**もちろん171と対バンできることも楽しみなんですけど、ライブは単に演奏する場所じゃなくて、音源を超えるためにあると思うんで。それを愚直に当日もやってやりたいなと。

**田中:**これは171の皆さんと協力してなんですが、日本で一番音がデカかった瞬間を作りたいですね。

**和田:**向こうの建物までぶっ飛ぶくらいの音を出しましょう!

**カナ:**ロック、ライブハウスに新しい時代が来たぞって確信させる日にしたいです。

**田村:**171とthe bercedes menzって同じようなルーツから違うパーツを取ってるのか、同じパーツを違うグループから取っているのか、何にせよ凄く背中合わせなバンドだと思うんです。それは、今日のお話も含めてですし。で、そういう2組が時代の先端を行くライブハウスで対バンすることは、象徴的な出来事じゃないですか。だから、先ほどの宣戦布告を受けまして、コテンパンにしてやろうと思ってます!

取材・文=横堀つばさ

3月29日(土)開催『ONE WEEK WONDER’25』

出演:171 / the bercedes menz

OPEN 18:30 / START 19:00

ADV / DOOR ¥3,000 / ¥3,500 + 1D

THANK YOU SOLD OUT!!!

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