
2025年1月22日(水)、東京・渋谷TOKIO TOKYOにて『会いたいと絶対』が開催された。『会いたいと絶対』は「何かを評価するために何かを卑下するような“相対的な好き”ではなく、ブレない“絶対的な好き”が集まる場にしたい」という思いからスタートしたイベント。4度目の開催となった今回は、2024年6月にUMEILOのホームである北海道で開催されたイベントも記憶に新しい、anewhiteとUMEILOのツーマンが実現。新体制になったanewhiteの門出を、盟友・UMEILOが祝福した1日の様子をレポートする。

anewhite
思わず「頑張れ」と拳を握りしめてしまうライブだった。決して頼りないわけではなかったけれど、ほのかに伝播してくる武者震いの緊張に、あるいは離別を抱え、それでも3人で歩を進めていくことを決めた覚悟に、「私たちも頑張っていくよ」と目を見て頷きたくなるような3人体制のanewhiteの始動。「ソフト」「サナギ」をセレクトした幕上げを受け、甘さと触れれば消えてしまう儚さを兼ね備えた佐藤佑樹(Gt,Vo)の歌声がより強調されている印象を受けた。元来、彼らは歌を1つの軸としながらトゥインクルなサウンドで彩ってきたわけだが、バンドサウンドがシンプルになったことで佐藤のボーカリゼーションが前景化すると同時に、ワンルームで独り弾き語っている情景をイメージさせるひとコマも増加し、孤独や寂しさが濃く色を放つ。そして、その胸の痛みが大切な人との別れを綴ったラインと共鳴しながら、切に迫ってくるのだ。
とはいえ、ファンタジックでありながらもロックバンド然としたサウンドスケープを喪失したわけではない。時が全てを解決してしまうことを嘆き、この手の中にある葛藤を抱きしめんとする新曲「タイムマシンには乗らないで」から「アンサー」を束ねた構成からは、日原大吾(Ba)と鈴木優真(Dr)のコーラスで彩られた新曲のアウトロをシンガロング必至のものに育てたいというanewhiteのアティチュードを垣間見ることができたし、言葉遊びの詰まったリリックと鉄筋のトーンがおもちゃ箱を喚起するほどにキラキラと輝く新曲「まほうのよるに」には彼らの温かな一面が屹立していた。
スウィング感の強いビートに乗せて<音楽は辞めない 生きていく限り>とこれ以上ないほど強固な思いを放つ新曲「オンガク」を終えると、佐藤は今日が新体制一発目のライブであることに触れ、「新体制だって見られないようにしなきゃなと思ってるんだけどね。4人で最後にリリースして辞めちゃったから、この曲はライブでやってないんだ」と「氷菓」を添える。河田の不在を全く感じなかったと言えば嘘になるし、おそらく本人たちもこのMC中にanewhiteが3人になったことをリアルな事実として実感していただろう。だからこそ、<けど それでいいんだ あたしはあたしのままでいて>の一行は彼らが形を変えてもそのままで居続けることへの祈りにも聴こえた。五月雨式に打ち付けた「カヤ」「ソワレの街で」も純然たるキラーチューンとしてのみならず、anewhiteの新たな行く先を照らすこれからの曲として響き渡っていく。
「ライムライト」でゴールテープを切った新生anewhite。「ソワレの街で」の曲中、<人生は雨の日があるくらいが美しい>の一節に、彼らは未来の自分たちの背中を押す歌詞を綴り続けていたのだと思わされる。そして、湧出した特大チャントに「最高!」と返した佐藤の清々しい表情を見て、心のどこかで抱えていたであろう不安が剥ぎ落とされたことを確信する。止まない音楽と収まらない喝采を浴びて、anewhiteよ、進み続けてくれ。
UMEILO
後攻・UMEILOは、DAICHI(Gt)のギターリフとハイフレットで動き回るベースラインが絡み合う「7月」でキックオフ。リバーブがかった伊藤純輔(Vo,Gt)のボーカルが客席を叙情的に満たすと、照明はインディゴから赤へと移り変わる。雪崩れ込んだ「rouge.」では、グランジ―な乾いたギターのメロディーと隙間に挟みこまれるスラッププレーが重厚感たっぷりにエロティックなムードを醸成していく。
UMEILOは大人になった。渋みや大人の色気と形容したくなるこの妖艶さは、純粋に歳を重ねたから発生したものでも、ヘビーになったアンサンブルに由来するだけでもない。「幽灯」「最終駅」と四つ打ちを基盤に据えたリズムでも繊細なタッチで豊かな表情をつけるたいが(Dr)のプレーや、劇中劇さながらに折にフェミニンな台詞を時に男らしさを醸し出す伊藤の声色をはじめ、いかに聴かせたいのかが確かな技巧の上で成立しているからこそ、彼らは大きな進化を遂げたのである。
こうした荘厳さを備えながらも、活動当初からUMEILOが身上としてきた丁寧な筆致によるかさぶたを剥がすようなラブソングが生き生きと煌めき続けているのも見事。スポットライトを浴びて弾き語り始めた伊藤にフロアからは息を呑む音さえ聞こえてきそうだった「高空」も、ゆっくりと紡がれた合奏が一足早く春の到来を告げた「春火鉢」も、彼らが鳴らし続けてきたナンバーなのだ。4人が時計の針を再び動かす前からプレイしていた楽曲群は、「あの頃の曲」としてのノスタルジーを内包しており、過去の恋愛を回顧する同作たちの性質と相まって、二重の懐古主義を引き起こすことも考えられる。にもかかわらず、UMEILOの音楽が新鮮に唸りを上げ続けているのは、彼らが過去をきちんと昇華した上で、最高地点を更新し続けようとしているからに違いない。anewhiteとのツーマンへの喜びを語ったのち、伊藤が「なかなかリードギターを弾くことは覚悟できないから、リスペクトです。anewhite、続けてくれてありがとうございます」と語った姿には、一度解散という選択肢を選んだこその実感と敬意、そして激励の思いが満ちていた。
「今年初めての東京だったんですけど、凄い楽しかったです」と「夢路を終えて」で青春の残り香と共に舞台を降りたUMEILO。復活イヤーとなった2024年を経て、2025年は4人にとって間違いなく勝負の年になるだろう。しかし、リハーサルでアクトされた新曲がさも当然のこととしてオーディエンスに受容されていた様子を目撃し、今のUMEILOであれば大丈夫だと強く思った。新しい時間を刻み始めた彼らの行く末をまだまだ見続けたい。
取材・文=横堀つばさ 撮影=Ryohey Nakayama
【SET LIST】
anewhite
1.ソフト
2.サナギ
3.タイムマシンには乗らないで(新曲)
4.アンサー
5.まほうのよるに(新曲)
6.オンガク(新曲)
7.氷菓
8.カヤ
9.ソワレの街で
10.ライムライト
UMEILO
1.7月
2.rouge.
3.革命より抜粋
4.ダーリン
5.幽灯
6.最終駅
7.高空
8.Last Song
9.春火鉢
10.夢路を終えて
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