
MVやドラマ、CMのロケ地としてライブハウスを探すとき、候補ページに載っているのはたいていキャパシティと住所だけです。実際に必要なのは、フリッカーが出るか、完全に暗転できるか、電源は何アンペアあるか、機材が搬入経路を通るか——このあたりの数字です。それが分からないままロケハンに行き、現場で「これは無理だ」と分かって半日を失う、というのはよくある流れです。
この記事では、渋谷・宇田川町のライブハウス TOKIO TOKYO(B1F・スタンディング180名) を例に、撮影で使う前に潰しておくべき項目を実測値つきで開示します。他会場を検討する際も、そのままチェックリストとして使える構成にしてあります。
まず結論から。撮影利用における当会場の主要スペックです。
| 確認項目 | 実数 |
|---|---|
| フリッカー | なし(照明全灯LED・実写検証済) |
| 完全暗転 | 可能 |
| 電源 | 電灯主幹 100A(単相3線 AC100/200V)※持込機材で使える容量は要相談 |
| 搬入経路の最小寸法 | 幅80cm × 高さ200cm |
| ステージ上の天井高 | 2,100〜2,200mm(照明機材まで)※低め |
| 日中の音出し | 平日18時までメインSP不可・モニターSPは可 |
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ライブハウス撮影で最初に潰すべき6項目
ライブハウスは「撮影のために設計された空間」ではありません。ライブを成立させるために最適化された場所を撮影に転用するので、スタジオでは前提になっていることが前提になりません。逆に、スタジオでは作り込むしかない照明・音響・客席が最初からあります。
ロケハンの前に、最低限この6つを問い合わせで確認してください。会場側が即答できない項目がある場合、その会場は撮影利用の実績が少ない可能性があります。
- フリッカーの有無 — 常設照明の方式。ハイスピード撮影の可否を左右する
- 完全暗転の可否 — 非常灯・外光・機材のインジケーターまで含めて落とせるか
- 電源容量 — 持ち込み照明を足せるか、発電車が要るか
- 搬入経路の最小寸法 — 通らない機材があると当日の組み方が変わる
- ステージ・フロアの実寸 — 特に天井高。画角とカメラワークが決まる
- 音出しの時間帯制限 — 同期演奏やライブシーンを日中に撮れるか
以下、順に当会場の数字を出します。
① フリッカー:なし(実写検証済)
当会場の照明は全灯LEDです。実際にカメラを回して検証しており、フリッカーは発生しません。
シャッタースピードを上げたハイスピード撮影、スローモーション素材の収録も、照明側の要因で縞が出ることはありません。演奏シーンをスローで抜く、ドラムのスティックやシンバルの揺れを高フレームレートで拾う、といったカットが組めます。
古い蛍光灯や一部のLED調光機を使っている施設では、シャッタースピードによって画面に横縞(フリッカー)やちらつきが出ます。これは撮影当日に判明すると打つ手が限られ、シャッタースピードの上限を切るか、常設照明を消して持ち込み照明だけで撮るかの二択になります。ロケハンの時点で、実際にカメラを回して確認しておくべき項目です。当会場では、この検証を済ませた状態でお渡ししています。
照明機材は以下を常設しています。
- CHAUVET COLORdash Par H7IP
- CHAUVET Intimidator Spot 375Z IRC
ヒビノグループの設計施工による全灯LEDのシステムで、色替え・ムービングを含めて照明卓から操作できます。照明オペレーターは会場費に含まれているため、「ライブの照明が当たっている画」は追加費用なしで作れます。
② 完全暗転:可能
完全暗転が可能です。
当会場はビルの地下1階(B1F)にあり、フロアに窓がありません。外光の差し込みがないため、時間帯を問わず同じ暗さを作れます。昼にロケをしても夜のライブシーンとして成立し、日中の枠で夜の画が撮れるのは撮影用途では大きな利点です。屋外ロケと同日に組む場合、天候の影響も受けません。
暗転からの照明の立ち上がり、ブラックアウトを挟んだカット割り、逆光で人物をシルエットにする画づくりが可能です。フルスモークを焚いた状態でのビームの抜けも作れます(スモークマシンは会場費に含まれます)。
なお、消防法上の誘導灯など、法令で消灯できない設備はあります。カメラの画角に入る位置関係については、ロケハン時に実際のフレームで確認してください。
③ 電源:電灯主幹100A
当会場の電源は、電灯主幹100A(単相3線式・AC100/200V) です。
ただし、この100Aは常設の音響・照明システムを含めた建物側の容量です。持ち込み機材に割り当てられる容量は、当日の会場設備の使用状況によって変わります。持ち込むライト・発電量の大きい機材のリストと消費電力を事前にお送りいただければ、使用可否をお答えします。大型のHMIやLEDパネルを複数灯投入する構成の場合は、必ず事前確認をお願いします。
撮影の規模感で言えば、カメラ・モニター・小〜中規模のLEDライト程度であれば、常設設備と併用しても余裕があります。発電車を手配するかどうかの判断は、機材リストをいただいた段階で一緒に詰めます。
延長ケーブル・電源タップは常設の予備がありません。持ち込み機材の分は、信号ケーブル・電源ケーブルともご持参をお願いします。
④ 搬入経路:最小で幅80cm × 高さ200cm
搬入経路上のもっとも狭い箇所は以下の2点です。
| 箇所 | 寸法 |
|---|---|
| フロア入口(防音扉) | 幅80cm |
| エントランス入口(扉) | 高さ200cm |
この2つ以外の通路・扉は、いずれもこれより大きい寸法です。つまり「幅80cm・高さ200cmを通過できるか」が、機材を持ち込めるかどうかの唯一の判断基準になります。
幅80cmは、組み上げた状態のドリー、大型のスタンド、ワンピースのセット材が通らない寸法です。分解して持ち込み、フロア内で組み上げる前提で機材構成を考えてください。この一点だけは、機材車を出す前に確認しておく価値があります。
搬入時の運用ルール
- 搬入口の扉は外側から開きません。一度、来場者用の入口からエントランスに入り、内側から解錠してください
- 搬入口は20時以降シャッターが閉まります。内側のボタンで開けられますが、開けてから5分程度で自動的に降りてくるため、車両が近くに来たタイミングで操作してください
- 搬入口に車両の留め置きはできません。搬入・搬出時以外は近隣のコインパーキングをご利用ください
- 会場内に機材溜めのスペースがありません。空ケースは楽屋に置くか、搬入時に車へ戻してください
近隣パーキングの車両制限
機材車を手配する際は、車両サイズが制限に収まるかを先に確認してください。
| アローパーキング宇田川町駐車場 | 渋谷区役所前公共地下駐車場 | |
|---|---|---|
| 住所 | 渋谷区宇田川町10-4 | 渋谷区宇田川町1-1 |
| 収容 | 196台 | 650台 |
| 車両制限 | 高さ2.1m/幅2.0m/長さ5.0m | 高さ2.1m/幅2.1m/長さ5.6m/総重量4t/最低地上高13cm以上 |
| 時間料金 | 8:00〜22:00 15分180円(月〜金)/15分250円(土日祝) 22:00〜8:00 60分200円 | 30分350円(全日) |
| 最大料金 | 24時間 3,200円(月〜金)/4,400円(土日祝) | 平日のみ 入庫から12時間 3,300円 |
| 営業 | 24時間 | 24時間・年中無休 |
いずれも高さ2.1mが上限です。ハイルーフのバンや2tアルミバンは入庫できません。大型の機材車を使う場合は、搬入だけ会場前で行い、車両自体は制限を満たす別の駐車場へ回すか、都度離れて待機する運用になります。
⑤ 実寸:先に天井高を確認してください
画角・カメラワークに直結する数字です。先に制約から出します。
| 箇所 | 実寸 |
|---|---|
| ステージ上の天井高(照明機材まで) | 2,100〜2,200mm |
| フロアの天井高 | 約2,650mm ※ミラーボール等で変動 |
| ステージ最前面の横幅(据置スピーカー込み) | 4,850mm |
| ステージ高(フロア→ステージ) | 460mm |
| フロア横幅(最長) | 7,830mm |
| フロア奥行 | 6,300mm |
ステージ上の天井高2,100〜2,200mmは、率直に言って低い数値です。
これは撮影の設計に直接効きます。ステージ上を俯瞰で抜くカット、クレーンやジブを立てる構成、演者がジャンプする・楽器を掲げる・背の高いヘッドドレスを着けるといった演出は、この高さを前提に組み直す必要があります。天井から吊る形の持ち込み照明も、実質的に選択肢から外れます。
一方、フロア側は約2,650mmあり、横幅7,830mm・奥行6,300mmのスペースが取れます。ステージを背景に、フロア側から引きで撮る構図が当会場のもっとも作りやすい画です。ステージ高460mmという低めのステージ高も、フロア目線のカメラから演者を見上げすぎない、自然なアイレベルに収まります。
据置のスピーカーはステージ最前面と下手後方にあり、移動できません。フレームに入る位置なので、セット図を組む段階で位置関係を確認してください。
⑥ 音出しと時間帯:日中は「モニターのみ」
当会場は入居ビルの他テナントの関係で、音量制限があります。
| 時間帯 | メインスピーカー | モニタースピーカー |
|---|---|---|
| 平日18時まで | 不可 | 可(90dB目安) |
| 平日18時以降 | 可 | 可 |
| 土日祝 | 終日可 | 可 |
撮影用途では、この制限は思われているほど障害になりません。
演者用のモニタースピーカーからは日中も音を出せます。 つまり、同期音源を流しながらの演奏シーン撮影、当て振り、楽器を実際に鳴らしながらのカット収録は、平日の日中でも成立します。制限がかかるのは客席に向けたメインスピーカーの大音量出力であり、撮影で必要な「演者が音を聴きながら演奏する」条件は満たせます。
観客を入れた実際のライブをそのまま収録したい場合は、平日なら18時以降開演のタイムテーブル、あるいは土日祝の枠を選んでください。土日祝は音量制限がありません。
なお、撮影・収録には事前の承認が必要です。予約時に用途として撮影である旨をお知らせください。
実際に撮られた画で確認する
ここまでの数字が、実際のフレームでどう見えるか。当会場で撮影されたミュージックビデオが公開されています。
当会場で撮影された作品です。
見ていただきたいのは、次の3点です。
- 暗転と光の立ち上がり — 地下で外光がないため、黒がそのまま黒として出ます
- カメラの高さと画角 — ステージ高460mm・ステージ上の天井2,100〜2,200mmという条件で、実際にどこまで引けてどこまで寄れるか
- 常設照明だけで作れる色 — 全灯LEDのため、シャッタースピードを上げてもフリッカーが乗りません
寸法表だけでは判断しづらい「この箱で撮ると、こういう画になる」という感覚は、実際の映像がいちばん早いはずです。ロケハンに来る前の一次判断にお使いください。
エキストラを入れる場合
観客のいる画が必要な場合の収容数です。
| 形態 | 人数 |
|---|---|
| スタンディング | 180名(ゲスト込み) |
| うちステージを直視できる位置 | 150名程度 |
| 着席 | 最大70席 |
カメラ機材やフロアに卓を置く場合、この人数から減ります。 カメラポジションを何箇所取るかによって変わるので、想定するカメラ台数と位置を事前に共有いただければ、実際に入る人数をお出しします。
椅子は70脚あり、70席以内であればレイアウトは自由に組めます。トークイベント風の並べ方、疎に散らした配置、一部を撤去して通路を作るといった調整が可能です。ご希望の場合は事前にご連絡ください。
エキストラの荷物は、コインロッカー(30個・400円)と受付でのクローク対応(600円)があります。
撮影で使える常設設備
会場費に含まれており、追加費用なしで使えるものです。
映像
- プロジェクター:Panasonic PT-RZ890JLB(DLP・短焦点レンズET-DLE150)
- 電動スクリーン:KIKUCHI GEA-170HDW/170インチ(実寸 最大 W3,760mm × H2,050mm・昇降約15秒)
スクリーンはステージ背面にあるため、投影素材が演者や機材に一部かかります。これを避けたい場合は、ステージ上の立ち位置を前寄りに設計してください。逆に、演者に映像を重ねる画を狙う場合はそのまま使えます。素材を入れたPCとHDMI変換器、当日の操作担当者はご用意をお願いします。操作位置は基本的に照明卓の横です。
演出
- スモークマシン(会場費に含む)
- 照明の色替え・ムービング(オペレーター付き)
通信
- Wi-Fi:来場者用で下り297.7Mbps/上り38.2Mbps、スタッフ用で下り75.1Mbps/上り68.6Mbps
- 有線LAN:2口(照明卓横の壁)
素材の即時アップロードや、監督が別ロケーションからリモートで確認する構成にも対応できます。
備品
- 折り畳み椅子 70脚
- 箱馬(W450×D370×H290)5個
- 会議机(W1500×D450×H1000)2台/長机(W900×D600×H1000)1台/丸机(直径480mm)2台
- パーテーション(W2100×D350×H1800)1個
- ベルトパーテーション 11個
楽屋は1部屋です。三角形の変形した間取りで、現実的な収容は10名前後。ヘアメイク・衣装替えのスペースとしては十分に広くはありません。人数の多い体制で入る場合は、内見時に実際のレイアウトを確認してください。
裸火・煙・火薬を使う場合
火を使う演出、パイロ、規定量を超えるスモークを使用する場合は、21日前までにご相談ください。内容によっては警察署・消防署への届出が必要になります。
会場常設のスモークマシンの範囲であれば、この手続きは不要です。
料金と時間の考え方
撮影利用でも、料金体系はライブ利用と同じです。時間貸しではなく、10時間のパッケージでお出ししています。
| 区分 | 利用時間 | 総額(税込) |
|---|---|---|
| 平日(月〜木) | 12:00〜22:00 | 238,700円 |
| 金曜・祝前日 | 12:00〜22:00 | 271,700円 |
| 土日祝 | 12:00〜22:00 | 359,700円 |
| 深夜帯(翌日が平日) | 23:00〜5:00 | 183,700円 |
| 深夜帯(金→土・土→日) | 23:00〜5:00 | 249,700円 |
利用時間は搬入から搬出まですべてを含みます。 12:00に機材を入れ始めて22:00に完全撤収、という設計になります。10時間を超える場合は1時間あたり22,000円(税込)の延長料、ただし昼夜帯の延長は23時が上限です。
音響・照明のオペレーター人件費、受付・バーカウンターの人員費、プロジェクター、スモークマシンはこの金額に含まれています。含まれるもの・含まれないものの全項目は渋谷のライブハウスを貸し切る費用|180キャパの総額を全公開に記載しています。
撮影なら平日日中と深夜帯が有利
観客を入れない撮影のみの利用であれば、曜日と時間帯の選択に制約がほとんどありません。ライブ公演は金土日に集中しますが、撮影は動員を気にする必要がないためです。
平日を選べば土日祝より121,000円安く、深夜帯(23:00〜5:00)であれば183,700円まで下がります。深夜帯は他の入居テナントが稼働していない時間帯でもあります。日程に融通が利くのであれば、空いている日程から選ぶのがもっとも条件を作りやすい方法です。空き状況はカレンダーで随時公開しています。
よくある質問
Q. 撮影のみの利用はできますか 可能です。観客を入れない撮影・収録のみのご利用も承っています。予約時に用途をお知らせください。
Q. 午前中だけの利用はできますか
承れる場合があります。日程や時間帯によって可否と料金が変わりますので、ご希望の時間帯をお知らせください。撮影のみの短時間利用でご相談いただくケースもあります。
Q. MV撮影の実績はありますか あります。当会場で撮影されたミュージックビデオが公開されており、記事内に掲載しています。仕上がりの画は本編でご確認ください。
Q. 日中に音を出して撮影できますか 平日18時までは客席向けのメインスピーカーから音を出せませんが、演者用のモニタースピーカーは使用できます。同期音源での演奏シーン撮影は日中でも可能です。土日祝は制限がありません。
Q. ハイスピード撮影でフリッカーは出ませんか 出ません。照明が全灯LEDで、実写での検証を済ませています。
Q. 完全に暗転できますか できます。地下1階で窓がないため、時間帯を問わず同じ暗さを作れます。
Q. 電源はどのくらい使えますか 電灯主幹100A(単相3線)です。持ち込み機材に割り当てられる容量は当日の設備使用状況によって変わるため、機材リストをお送りいただければ個別にお答えします。
Q. 大きな機材は搬入できますか 経路上の最小寸法が幅80cm・高さ200cmです。これを超えるものは分解しての搬入をお願いしています。それ以外の通路・扉はこれより大きい寸法です。
Q. 天井は何メートルありますか ステージ上が照明機材まで2,100〜2,200mm、フロア側が約2,650mmです。ステージ上は低めのため、クレーンや天吊りの持ち込み照明には向きません。
Q. 機材車はどこに停めればいいですか 搬入口に留め置きはできません。近隣コインパーキングは高さ2.1mが上限のため、ハイルーフ車・2t車は入庫できません。搬入のみ会場前で行う運用になります。
Q. 下見はできますか 可能です。公演のない日程で調整しますので、ご希望日をいくつかお知らせください。ロケハンでカメラを回していただいて構いません。お問い合わせフォームからご連絡ください。
Q. 火や煙を使う演出はできますか 裸火・煙・火薬を使用する場合は21日前までにご相談ください。会場常設のスモークマシンの範囲であれば事前手続きは不要です。
Q. 作品内で会場名を出せますか 会場名の表示・クレジットについては事前にご相談ください。使用方法によって取り扱いが変わります。
Q. 見積は無料ですか 無料です。日程・撮影内容・想定人数・持ち込み機材の概要をお知らせいただければ、総額でお出しします。
ロケハン・見積のご相談
日程・撮影内容・持ち込み機材の概要をお知らせいただければ、電源や搬入の可否を含めて回答し、総額でお見積りをお出しします。
判断に必要な数字が足りない場合も、実測してお答えします。ロケハンは公演のない日程で調整しますので、カメラを回して確認していただいて構いません。