福岡県久留米発の4人組青春ロックバンド、ジ・エンプティ。自主公演『ウルトラロマンティック』の成功や『TRIANGLE2024』への出演など、破竹の勢いを見せる彼らは7月9日(火)渋谷・TOKIO TOKYOにて先輩INKYMAPとのツーマンライブを繰り広げる。今回TOKIO TOKYO Knowledge Shareでは同イベントに対する意気込みはもちろんのこと、ジ・エンプティがストレートなラブソングや応援歌を歌う理由、4人の主戦場であるライブハウスの魅力についてたっぷりと語ってもらった。インタビューを通じて見えてきたのは、数々の対バンライブで磨かれてきた、一緒に時間を作り上げるライブへの熱い思いだった。

新しいジ・エンプティを見せつける新曲「ウルトラロマンティック」

――4月にリリースされた「ウルトラロマンティック」を引っ提げた自主公演『ロマンティックナイト』の開催お疲れ様でした。福岡公演はヤングオオハラ、東京公演はHERO COMPLEXとのツーマンになりましたが、振り返ってみていかがでしたか?

**ハルモトヒナ(Vo):**今回は純粋に自分たちが対バンしたい2バンドを呼ばせてもらって。ずっと聴いていたヤングオオハラと九州バンドの先輩・HERO COMPLEXとの企画を終えて、ライブの基盤ができている実感が湧きましたね。

――ライブの基盤というのは?

**ヒナ:**フロアが良い雰囲気なんです。初めて東京でライブをした際はお客さんも少なかったし、歌っている人もほとんどいない状態で。でも今は、シンガロングが起きたり、聴かせるポイントで皆が良い顔をして聴き入ってくれているので、良いライブができているのかなと。

――これまでにシングル「テイクミーアウト」「青春」やEP『神様からの贈物 e.p.』を発表されていますが、デジタルシングルでの配信は今回が初めてになります。「ウルトラロマンティック」を一発目に決めた理由を教えてください。

**カワカミタイキ(Dr):**今までとは違った空気感の楽曲だったのが大きいかな。

**ヒナ:**そうやね。ジ・エンプティとして勢いづいている段階で、シンガロングがガッツリ起きる曲を出して「これがジ・エンプティだよな」と思ってもらうより、「こんなこともできるの?」と驚いてもらえるような違った側面を見せたかったんです。

――お話いただいた通り「ウルトラロマンティック」はサウンドとしても柔らかな1曲です。音数も多彩なナンバーということで、皆さんが工夫した点をお聞かせください。

**ヒナ:**ボーカルでいうと、ハモリやメロディーが今まで以上にしっくりくる形で広がっていて。レコーディングをしながら「気持ち良いな」と思っていました。

**タイキ:**ドラムはオシャレなエイトビートになっているので、今までにない雰囲気を出すことができたと思います。

**トクナガシンノスケ(Gt):**これまではガッツリアルペジオを使ってこなかったんですが今回は手数も多いですし、今までにない音色を入れましたね。歌詞についても、書いていく中で自然にまとまったなと。

**クガケンノスケ(Ba):**普段の楽曲ではベースラインを動かすことは少ないんですが、この曲は動きっぱなしで。最後のサビ前では音に変化も加えられましたし、細かな点までこだわれたかな。ライブでも楽しく弾くことのできる1曲になりましたね。

――「ウルトラロマンティック」をはじめ、「今宵はベイビー」や「思い出は甘いままで」など、ジ・エンプティは甘酸っぱい片想いやピュアな恋愛を描いている印象があって。そうしたストレートなラブソングが湧き出てくる背景は何なのでしょう。

**ケンノスケ:**シンノスケがピュアなんじゃない?

**シンノスケ:**僕が甘酸っぱいのはあるかも(笑)。あとは、これまで聴いてきた音楽が甘酸っぱくてストレートな歌詞の曲が多かったので、自然と近しいものが出てくるのだと思います。

――もともと好きだった音楽を昇華していった結果、ジ・エンプティのキャラクターと合致するラブソングが生まれていると。ピュアなラブソングを紡ぐ一方で「あいつの唄」や「テイクミーアウト」等、背中を押す応援歌も多く歌われていますが、そういった“青春ロック・パンク”をやろうと思ったキッカケは?

**ヒナ:**僕は3人が活動している中に後から加入したので、楽曲も既にあって。友達が「やろうぜ」と言ってくれた音楽を一緒に楽しみながらやっている感覚です。

――ヒナさんが加入される際、元来ヒナさんが好きだった音楽とお三方がこれまでやっていた音楽の違いに対する不安は無かったのですか?

**ヒナ:**僕はMr.Childrenやスピッツが大好きだったので、確かに畑の違う所からきていますが、やっぱり歌うことが好きなんですよね。なので「このジャンルが好きで、このジャンルは苦手」というこだわりは無くて。皆と一緒に好きな歌を歌っているうちに、多くの人に見てもらえるようになってきました。

――シンノスケさんとケンノスケさん、タイキさんのお三方で活動されている段階から、現在のようなバンド像を描いていたのでしょうか。

**シンノスケ:**最初はジャンルもバラバラだったよね。

**タイキ:**うん。曲によって雰囲気は違いましたが、ラブソングがほとんどでした。活動を続ける中で、自然と現在の形になってきた気がします。

**ケンノスケ:**ライブを盛り上げたくて、今の形になったのかな?

**ヒナ:**それはあると思う。あとは、青春ど真ん中で聴いていたバンドが熱いバンドだったので、自ずと近しい方向性になっているのかもしれないです。

――“青春ロック”をやりたいと考えていたというより、対バンを重ねていく内に現在のジ・エンプティが出来上がってきたと。

**シンノスケ:**そうですね。九州にはTHE FOREVER YOUNGやHERO COMPLEXなど近しい存在のバンドがいて、盛り上がっているライブを目撃して「良いな」と思ったんです。ジャンルにこだわるよりもライブを重視して活動を続ける内に、自然と色々なジャンルの音楽を吸収したジ・エンプティの音楽になりました。

「一緒に時間を作り上げている感覚にぞわぞわする」 ライブハウスで戦う4人が語るライブの魅力

――「ライブを重視してきた」というお話もありましたが、ライブでの表現と音源での表現は異なる部分もあると考えています。音源の世界観をライブで再現されるバンドもいる中で、それぞれの表現において意識している点を教えてください。

**シンノスケ:**音源ではギター1本とベース、ドラムというミニマムな編成で、どのように抑揚をつけるかをすごく考えています。サビで爆発させたり、楽曲のギャップを作るための足し算引き算は大切にしていますね。ライブに関しては音源を再現するというよりも、むしろ逆で。先行してライブが存在していて、そのイメージを音源に落とし込んでいく意識が強いです。

**ヒナ:**今まではライブで披露して「盛り上がるな、良いな」と思えた曲を音源にしていたので、楽曲が先行したのは今回の「ウルトラロマンティック」が初めてだったかも。

――ライブで定着した楽曲をいつでも聴いてもらえるように音源化していたと。数々のライブにご出演されていますが、改めてライブハウスの好きなポイントは何でしょうか。

**ケンノスケ:**無数にあって選べないな……。

**ヒナ:**高校や大学を卒業すると、集団で何かをすることが少なくなると思うんです。でも、ライブハウスは一緒にステージを見つめたり、歌ったりできる場所で。好きなバンドのチケットを買ってライブに足を運んだ時、一緒に時間を作り上げている感覚にぞわぞわしますし、その高揚感をもたらしてくれるライブハウスが好きですね。

**ケンノスケ:**そういうのが言いたかった! 本当に今の話の通りです(笑)。

**タイキ:**純粋に音を聴きたい時や浸りたい時、呑むついでにでも来れるのが、自由で良いなと思いますね。

――ライブハウスの一体感が好きというのが、楽曲にも繋がっていると感じました。自主企画『ロマンティックナイト』のソールドアウトや『TRIANGLE2024』など、様々なステージを経験される中で課題も見えてきたと思います。それを踏まえて、今後どのようなライブ像を目指していきたいですか?

**ヒナ:**僕の課題は歌が上手くなることだと考えています。単に上手くなるといっても、音域の広さや音程の正確さなどの技術的な側面だけではなくて。日本語を知っているからこそ伝えられる言葉があると思っているので、誰かに刺さって抜けないような歌の上手さを獲得したいです。そうすれば、もっと大きなステージでもお客さんがついてきてくれると思っていますね。

**ケンノスケ:**ライブの時は毎回爆発しているんですが、たまに乗り切れない日があって。全部のライブでベストが出せるようにしたいです。

**タイキ:**今のライブはパンクだけで止まってしまっているので、より演奏技術を向上させてテクニックとパンクが合わさったライブをしたいなと。そうすれば、目指しているもっと高いステージに行けると思いますし、より最高になれると確信しています。

**シンノスケ:**僕らのライブはバッと盛り上がる人も泣いている人もいる、喜怒哀楽が顕著に表れたフロアだと感じていて。その振り幅がより大きくなって、感情の起伏が良く分からなくなってしまうほど、のめり込んでもらえるようにしたいですね。

「楽しさが溢れた1日にしたい」 先輩INKYMAPとのツーマン『会いたいと絶対』

――7月9日(火)にTOKIO TOKYOにて『会いたいと絶対』が開催されます。対バン相手のINKYMAPとは幾度か共演していらっしゃいますが、どのようなイメージを持っていますか?

**ヒナ:**僕がINKYMAPを大好きな理由は、フロアや僕らに対して熱いラブをくれるところで。「皆で幸せになろうぜ」というスタンスを感じますし、決して明るくはない世の中で傍にいてほしい先輩ですね。

**ケンノスケ:**格好いい先輩だからこそ、負けたくないです。

――対バンライブは「相手に負けたくない」というバトル的な要素とバトンを繋ぎ、受け取る要素があると考えているのですが、皆さんは対バンイベントにどのような気持ちで臨まれることが多いですか?

**シンノスケ:**対バン相手で変わってきますが、僕はしれっとバトルしているのが好きかも。一見すると好き勝手に演奏しているように見えるけれど、心の中には闘争心をきちんと持っている。そのバランスが上手に取れると良いなと。

**ヒナ:**INKYMAPはそれが上手いよね。こちらからバトルを仕掛けても軽く流される感覚がある一方で、いざステージに立つと派手にやっちゃうのがズルいです。

――『会いたいと絶対』は、「何かを評価するために何かを卑下するような“相対的な好き”ではなく、ブレない“絶対的な好き”が集まる場にしたい」という願いを込めたイベント名で。改めて当日に向けた意気込みを教えてください。

**シンノスケ:**今の話は僕らの心の持ち様とも重なると思いましたし、INKYMAPへの相対的な競争心も、揺るがない絶対的なジ・エンプティの音楽性も出したいです。タイトル名に似合うようなライブにします。

**タイキ:**最高のフロアだと思うので、ついついニヤっとしてしまう楽しさが溢れた1日にしたいと思います。

――当日はよろしくお願いします! 最後に2024年も7月に差し掛かるということで、残り半年の目標、そしてバンドの野望を聞かせてください。

**ヒナ:**今年は色々な会場で沢山の対バンを積み重ねていて。パンパンのフロアもあればお客さんが少ない時もある中で、様々な戦い方を先輩や同い年、年下から吸収していると思っています。武器をゲットしながら自分たちの長所に磨きをかけることができれば、将来的にどのジャンルでも戦えるバンドになれるなと。野望としては、地元の久留米市でフェスをやりたいです!

**シンノスケ:**バンドの規模が大きくなればお客さんの数も増えるので、満員のライブもスカスカのライブも経験できる今は、忘れてはならない期間だと考えています。将来のために、しっかりと力をチャージしたいですね。

**タイキ:**2024年の前半戦は十分に濃かったので、後半はより濃いものにして。来年以降もどんどん密度を濃くしていくことで、最強のバンドになりたいです!

取材・文=横堀つばさ 撮影=高木健太

7月9日(火)開催『会いたいと絶対』

出演 ジ・エンプティ / INKYMAP

OPEN 18:30 / START 19:00

ADV / DOOR ¥2,800 / ¥3,400 + 1D

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