
“Create New Values”を掲げる名古屋発の3ピースバンド・HONEST。そんな彼らが自身の名を冠した1stアルバム『HONEST』をPIZZA OF DEATHよりリリースし、鮮烈なデビューを果たしたのが1年半前のことになる。
今回TOKIO TOKYO Knowledge Shareでは、10月30日(水)にSHE’ll SLEEPと共演する『会いたいと絶対』の開催に先立ち、樋口浩太郎(Vo,Gt)のアメリカ留学や数々の企画を経て、より強靭になったHONESTの今に迫った。
今の時代にメロディックサウンドを鳴らすことの意味、メロディックを超えバンドカルチャー全体を見据える3人の視点。ライブキッズはもちろん、バンドを愛する全ての人に読んでいただきたい、等身大の言葉たちをここに残す。
初期衝動を詰め込んだ1stアルバム『HONEST』
――1stアルバム『HONEST』のリリースから1年半が経過しました。リリース後数々のライブを重ね、楽曲に対するイメージも変わっていると思うのですが、改めてどういった1枚だと感じていらっしゃいますか。
**樋口浩太郎(Vo,Gt):**メロディックパンクが好きな衝動が詰まっていると思いますし、パンクだけではない様々なルーツを落とし込むことができたかなと。HONESTというバンドの入り口になるような勢いのあるキラキラした1枚だと感じています。曲も構成も良くて、分かりやすい1枚だから、お客さんにも飽きずに聴いてもらえるアルバムだなって。
**夏目拓実(Dr):**曲はもちろん、全体の流れやお客さんに知れ渡っていく感じも気に入っているので、完成してからどんどん好きが増しているアルバムだと思っています。アルバムを聴いていくうちに、このタイミングにミドルテンポの曲が入っている意味が分かったりもして。リリース直後よりも作品に対する理解が増したなっていう。
――制作を始めた段階でいわゆる初期衝動的な作品を意識していたんですか?
**樋口:**好きなものを詰め込むことや1枚目らしい勢いを意識してはいたんですけど、深く全体像を考えていたわけではなかったです。自分の衝動が詰め込まれていれば、何かしら届くんじゃないか、みたいな。結果として、環境やタイミングが噛み合って沢山の方に聴いてもらえました。
――高橋さんは加入から約4カ月で『HONEST』をリリースしているわけで。PIZZA OF DEATHへの所属も含め、活動を続けてきていかがですか。
**高橋太陽(Ba,Cho):**HONESTでサポートを始めた時は、PIZZAに所属することも知らなかったんですよ。でも自分でHONESTへの加入を決めたから、当時は踏ん張っていましたね。僕はバンドをやる上で、やりたいことをやることを大切にしていて。今はやりたいことの間口を広げている感覚が大きいので、強くPIZZAの存在を意識しているわけではないかな。
メロディックシーンを超える HONESTが掲げる”Create New Values”
――HONESTは「次世代を担うメロディックパンクバンド」といった枕言葉で語られることが多いと思うんですね。でも皆さんはメロディックパンクをルーツとしつつも、広いジャンルを吸収している。そういった中で、現在のHONESTの切り口に対してはどのように感じていらっしゃいますか。
**樋口:**メロディックが好きで憧れてきたから、メロディックのお客さんも大事にしたいし、もちろん大きいステージにも立ちたいです。でも色々な畑でライブをしたいし、色々な場所に行ってみたい。ジャンルを問わず同じ価値観の格好良いバンドたちとやっていって、「メロディックパンクバンド」と呼ばれることを辞めたいなと。「メロディックはツービート」みたいな常識があるけど、もっと沢山のビートや曲があっていいと思うんですよ。「HONESTはHONEST」という存在になれるように、実験を重ねて進化できるバンドになりたいです。僕らの世代が受け継いでやるべきことはそれだと思うので。
**高橋:**俺は、HONESTはメロコアじゃなくてメロディックパンクだと思っているんですよね。
――というと?
**高橋:**単に言い方の問題かもしれないけど、僕らはメロディックパンクをやっている。だけど、メロディックに留まりたくないんです。なんて言うんだろうな……。
**樋口:**言いたいこと分かるよ。もともとメロコアはBACK DROP BOMBやSCAFULL KING、SOBUTとか、バラバラなことをしているバンドたちを統一するために生まれた言葉じゃないですか。その中でHi-STANDARDがオーバーグラウンドで活躍したから、メロコア=ハイスタみたいな音楽という印象が生まれて、今に至ると思うんですね。でも、もともとメロディックハードコアなんだし、自分のルーツやマインドにはハードコアがある。だから俺は「メロディックパンクバンド」って言われることに違和感があるんです。太陽も夏目もメロディックパンクをやりたいと思うけど、ジャンルに囚われるのはもったいないなって。
**夏目:**樋口くんの話と重なるんですけど、僕も色々な音楽シーンでより上を目指したいと思っています。もちろんメロディックパンクシーンで時代を作りたい、上に行きたいとも感じていますが、広い範囲を見ているかな。
――メロディックに拘らず、よりジャンルミックス的な視点をお持ちだとお受けしたのですが、そもそも「メロディック」って何だと思いますか? 「メロディックはこう」という基準があるからこそ、相対化が図れると思うんですが。
**樋口:**がむしゃらで危険な感じがメロディックの定義としてあるんですけど、パンクってそれだけが良さじゃないというか。速いからパンク、スカが踏めるからパンクじゃなくて、やっぱりメロディーや曲、歌詞が良いから格好良いのが理想的だなと。俺らが良いって思うバンドはそういうバンドだし、自分たちもそうなりたいですね。
**高橋:**パンクはファストで危ないから大衆受けしないと思うし、むしろ「大衆受けして欲しくない」と考えている天邪鬼の集まりがパンクじゃないかなって。でも大衆受けしないからこそ、テレビに出たり届けようとした人が沢山いる。それに対しては、格好良いと思っています。実際、浩太郎もMステで健さんを観てくらったタイプだし、そういう人が増えたら面白いなと。パンク好きな友達に影響されてHONESTのライブに来てくれる人もいるんで、僕らはアナログに噂で広がっていけたらなと思います。
――高橋さんが話していただいた通り、パンクはカウンターカルチャーの要素が強いので、メインストリームで活動することをセルアウトだと指摘されることもあると思うんですね。一方でHONESTはより広いバンドシーン、音楽シーンを志向している。そういった両者のバランス感についてはどのように考えているのでしょう。
**樋口:**もちろん売れたいとも思っているんですけど、1番は同じ年や年下の人たちに届けたいんですよね。ライブハウスに来ている若い世代が少ないんで、クラブが好きな子や家でゲームするのが好きな子にも俺たちのライブに来てほしい。バンドのライブに行くことがもっとクールで、格好良いやつも集まる場所にしたいんです。そのためには、沢山の人に届けなきゃいけないし売れなきゃだよな、みたいな。
――バンドカルチャーを盛り上げることが最優先にあり、そのための手法として売れることがある。
**樋口:**そうですね、1つの通過点というか。例えば、俺らが目当てじゃない100人がライブに来てくれたとするじゃないですか。その100人にがむしゃらでライブをして、1人でも「HONEST格好良いな、聴いてみよう」と思ってくれたなら、それを100回やったらいい。そういうことを続けていけば、若い人だけじゃなくて色々な人を取り込んでいけると思うんです。そうやって取り込んだ中の1、2人が俺らの好きな音楽を探ってくれれば、バンドカルチャーがどんどんクールな場所になっていく。人種も性別も関係なく、色々な人が喧嘩なく楽しめる場所を作ることが僕の最終目標なんですよ。
――ここまでのお話はHONESTが掲げている“Create New Values”に通じることばかりだと感じているのですが、このフレーズはどういったキッカケで生まれたんですか?
**樋口:**俺が格好良いと思うバンドの多くは、ポリシーを掲げて活動していて。特に影響を受けたのがTURNSTILEなんですけど、彼らも“TURNSTILE LOVE CONNECTION”という目標を掲げている。そういったバンドたちに感化されて、自分の感覚を言葉にしたんです。
――“Create New Values”には「メロディックだけではない色々な畑と繋がりたい」「バンドカルチャーをクールにしたい」という考えが込められていると思います。現状への課題意識があるからこそ、「新たな価値の創造」を謳うポリシーが生まれたと推測したのですが、いかがでしょう。
**樋口:**そうですね……。「この曲はこのノリじゃなきゃいけない」「このパートはこれをしなきゃいけない」みたいな同調圧力ってあるじゃないですか。でも、もっと自由で良いと思うんですよ。気に入らないやつに対してSNSで物申したり、先輩に合わせて無理矢理何かすることにも疑問があるし。好きなことをしている自分たちをお客さんが観てくれるのであれば、その3、40分に対して全員が100パーセントの力でぶつかれるようにしたい。そのために喧嘩や同調圧力は不必要だから、今の価値観を変えたいんです。「俺らが先陣を切る、引っ張っていく」とか言えるような立場でもないし、他のバンドに強制する気もないけど、純粋にやってみたい。そういう実験への意欲があるから、“make”じゃなくてより創造的な”create”にしたんです。
――あくまでも自分たちが提案していく感覚だと。高橋さんと夏目さんは“Create New Values”に対してどのようなことを感じていらっしゃいますか。
**高橋:**浩太郎が言っていたみたいに、俺たちが先陣を切るわけじゃなくて、同世代の横の繋がりを大切にしながら、ジャンル関係なくみんなで押し上げていくことが“Create New Values”だと思っています。バンド主催のフェスをはじめ先輩たちがしてきたことは、先輩たちの横の繋がりで生まれたものじゃないですか。そこをリスペクトしつつ、より多様性がある場所を広い眼で見て作っていけたらなと。
**夏目:**他のバンドが既にしていることをやるよりも、自分たちにしかできないことをやりたいと思っていて。それこそ、メロディック以外のバンドと一緒に企画をしていることはHONESTの強みだと思うし、その交流を経て今度は僕らが呼んでもらえるようになれば、どこのジャンルでも勝負できるようなバンドになる。それを繰り返していけば、どんどんバンドの強みが増えていくんじゃないかな。

「全員掴まれて帰ってもらえたら」 SHE'll SLEEPと相見える10月30日(水)『会いたいと絶対』
――10月30日(水)に『会いたいと絶対』が開催されます。対バン相手のSHE'll SLEEPに対するイメージを聞かせてください。
**樋口:**SHE'll SLEEPはバンドを始める前から好きなバンドだったので、仲良くなりたいなと思っていて。今回のツーマンが深く繋がれるキッカケになったらなと思ったり、人見知りなんで怖いなと思ったり(笑)。
**高橋:**シールに関しては夏目が長いと思うんで俺が先に喋るんですけど、僕が初めてシールを観たのは『HIRAETH DREAM MATCH』(2021年2月開催)だったんですね。高校生の時はパンク馬鹿だったので、メロディック=英語だと考えていて。でもシールを観て「メロディックって日本語でやっていいんだ」と思ったし、くらいました。この前Brown Basketのツアー(2024年3月開催『ぶっ滾るツアー』)でガッツリ対バンさせてもらったんですけど、今回も色々と話せたらなと。
**夏目:**僕は2023年1番聴いたバンドがシールなんですよ。好きすぎてギターもベースも弾けるから、1人でコピバンをできてしまうくらい。なので、純粋に10月の対バンで舞い上がってます!

――改めて、10月30日(水)に向けた意気込みをお願いします。
**樋口:**SHE'll SLEEPとツーマンはまだなかった組み合わせだと思うので、俺らのことが好きなお客さんにもシールが好きなお客さんにもバシッと届けられるライブをして、全員掴まれて帰ってもらえたらなと思ってます。よろしくお願いします!
取材・文=横堀つばさ
10月30日(水)開催『会いたいと絶対』

出演:HONEST / SHE'll SLEEP
OPEN 18:30 / START 19:00
ADV¥3,000 / DOOR¥3,500 +1DRINK(¥600)
チケットはこちら
TOKIO TOKYOでライブをしたいアーティストの方はこちらへ

TOKIO TOKYOでは多くのアーティストの方と出会い、ファンとの出会いを作る場を提供したいと考えています。
是非上記の画像から、多くのアーティスト様からのご連絡をお待ちしております。